古民家や保養所を再生「リノベホテル」、首都圏で広がる
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東京
2019/10/11 6:00
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古民家や企業の研修施設、保養所をリノベーションしたホテルが首都圏で相次ぎ開業している。改装前の建物の特色を生かし、会議室をカプセルホテル型の客室や宿泊者の交流スペースに整備するなどの設備・サービスが特徴だ。若年層や東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う訪日外国人客の利用を見込む。

会議室などの広い部屋はカプセルタイプの客室とした(神奈川県葉山町のうみのホテル)

会議室などの広い部屋はカプセルタイプの客室とした(神奈川県葉山町のうみのホテル)

相模湾越しに江の島や富士山を一望する神奈川県葉山町。海沿いに低層の住宅が並ぶなか、ひときわ目立つ6階建ての建物がある。アサヒビールの研修施設だった建物を改装し、総合不動産開発のシマダハウス(東京・渋谷)が7月に開業した「葉山うみのホテル」だ。

通常の客室に加え、研修で使っていた大部屋をカプセルホテルタイプの「バンクルーム」(41室)とした。建物の一部は20年に有料老人ホームとしても活用して収益化する。日帰り客が多い同町はホテルが少ない空白エリアで、ビジネス客需要も狙う。担当者は「近くでは五輪に向けた合宿なども予定される。訪日客の増加にもつながれば」と期待する。

企業の保養施設が多い同県箱根町でも企業の施設を全面改修した新型ホテルが相次ぎ開業する。小田急電鉄は8月、SOMPOホールディングスの保養施設をリノベーションし「箱根ゆとわ」(同町)を開業。書籍取次の日本出版販売も18年に自社の保養所を本をテーマにしたブックホテル「箱根本箱」(同町)に衣替えした。ともにラウンジで滞在を楽しむ仕掛けが若年層らに人気だという。

企業が持つ不動産だけでなく、空き家などの民家を宿泊施設にする動きも広がる。特に古民家は日本らしさを好む訪日外国人に人気がある。シマダハウスが東京・神楽坂で3月に開業した「神楽坂レトロなホテル」もそんな宿泊施設のひとつ。ふすまにちゃぶ台、テレビはブラウン管テレビを模すなど昭和風。長期滞在客や訪日客に人気だという。

千葉県香取市佐原地区では古民家を宿泊施設とし、観光客を呼び込んでいる

千葉県香取市佐原地区では古民家を宿泊施設とし、観光客を呼び込んでいる

成田空港に近く、木造の古民家や土蔵など昔ながらの町並みが残る千葉県香取市の佐原地区では、古民家を改修した「佐原商家町ホテル NIPPONIA」が18年3月に開業した。同地区は日帰り客がほとんどだったが、同ホテルは台風15号で近隣に被害が出る前までは週末、ほぼ満室が続いていた。

西武秩父駅(埼玉県秩父市)に近い秩父神社の表参道で2月に開業した「ちちぶホステル」(同市)は、交流が楽しめる宿泊施設だ。毎週末、ホステルの管理人が階下にあるバルのカウンターに立っており、地元の常連客を含めて宿泊客と交流する場になっている。「観光客が地元住民とコミュニケーションをとる機会はなかなかない」(管理人)ため、人気だという。

既存ホテルの価格が高くなっているなか、長期滞在の訪日客や若年層の間では宿泊料が比較的安い民泊などが一定の支持を集めている。ただ「民泊では営業日数などに制限が多い」(シマダハウス)うえ、防犯面などへの不安を持つ人もいる。

企業の研修所や古民家を改装した宿泊施設は、既存ホテルと民泊などのすき間を埋める新たな形のホテルだ。目の肥えた宿泊客をさらに呼び込むためには、施設の立地や特色を生かしたサービスがより重要となりそうだ。

遊休資産のホテル化 厚生労働省の医療経済実態調査によると、健保組合による直営保養所は2016年度末時点で354カ所と00年度末(1581カ所)から8割近く減少した。利用者の減少や健保組合の収支悪化が要因だ。
 企業が福利厚生の一環として設置してきた研修施設や保養所はサービスの外注化や整理が進んだ。その一環で、改装してホテルとして再生するケースが増えている。

(牛山知也)

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