新潟麦酒のウイスキー「越ノ忍」 香り評価、輸出9割

2019/10/13 18:00
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クラフトビール製造の新潟麦酒(新潟市)がウイスキー事業で海外開拓に挑んでいる。2018年に始めたばかりだが、すでに新潟から多くを輸出に回している。いま力を入れるのは、日本製が「ジャパニーズウイスキー」として注目される米国。ホテルチェーンなどと複数のOEM(相手先ブランドによる生産)契約の商談を進めている。

「忍」漢字が目立つ。ジャパニーズウイスキー人気が追い風となるか

「忍」漢字が目立つ。ジャパニーズウイスキー人気が追い風となるか

米サンフランシスコにあるレストランのバーカウンター。日本のウイスキーの有名銘柄が並ぶ棚に最近、新顔が加わった。新潟麦酒のブレンデッドウイスキー「越ノ忍」。忍という大きな文字と、武士の姿を描いたラベルが目を引く。

米国ではジャパニーズウイスキーの市場が拡大し、日本全体の対米輸出額は過去10年で70倍に増えた。地方メーカーの個性的なクラフトウイスキーにもスポットが当たっている。

「越ノ忍」は世界の蒸留所から、シェリー樽(たる)やバーボン樽で熟成された原酒を輸入し、新潟工場(新潟市)で混ぜ合わせてつくっている。生産量は月によって異なり、10月は月産5万本だった。9割が輸出用で、うち4割を米国が占める。厳選した原酒の絶妙な組み合わせと、国産のミズナラ樽で追加熟成した豊かな香りが特徴だ。

米国最大のコンテスト「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2019」で金賞を受賞。米酒類卸の品評会でも金賞を獲得した。「独特な香りが融合している。滑らかで飲みやすい」と海外の輸入業者の評価はまずまずのようだ。

創業は1997年。生きた酵母を瓶に入れて二次発酵させる国内初の製法により、クラフトビール「ニイガタビア」をつくり始めた。新規事業として注目したのがウイスキーで、宇佐美健社長が試作してきた。

2018年に第1弾「越ノ忍」を発売すると、「海外からの引き合いが想像以上に多かった」と宇佐美社長。すでにフランスや香港など10カ国・地域に輸出している。

20年9月期はウイスキー事業を加速させる。自社ブランドの展開に加え、OEMにも力を入れる。現在、世界的な米ホテルグループを含む3つの大口案件の商談を進めているという。新潟工場の生産能力を増強して対応する。

海外での生産にも乗り出す。近くロシアで現地企業と合弁会社を設け、ウラジオストクに酒類製造の工場を建てる。ウイスキーとビールを両方製造し、現地で販売する。

19年9月期の売上高は3億4000万円、20年9月期は5億円の見込み。「ウイスキーは時間がたつにつれ、味わいが増す。ビール造りにない挑戦」と宇佐美社長。新事業拡大の困難を乗り越えていけば、企業としても深みが増してくる。

会社概要 1997年、宇佐美健社長が脱サラし、ビール会社を創業。ビールの製造過程で発生する残さを活用した畜産事業も手掛けている。2017年、新潟市で初めてとなるウイスキー蒸留免許を取得した。

(新潟支局 斉藤美保)

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