学生時代は考古学に熱中 ノーベル化学賞の吉野彰さん

ノーベル賞
関西
2019/10/9 22:49
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ノーベル化学賞受賞が決まった吉野彰さん(71)が学生時代に当初、熱中したのは考古学だった。「人生で最も有意義だった」と振り返る大学時代の2年間で専門外の知識や経験に触れたことが、多くの研究仲間から信頼される洞察力や人柄につながった。

京大では考古学研究会に所属し、遺跡発掘に携わった。(1966年、前列左から3人目が吉野氏)

京大では考古学研究会に所属し、遺跡発掘に携わった。(1966年、前列左から3人目が吉野氏)

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大阪府吹田市出身の吉野さんは、府立北野高校時代に遺跡発掘を手伝った縁で、進学した京都大で考古学研究会に入会。古代ロマンの世界にどっぷり浸り、妻、久美子さん(71)とも考古学を通じて知り合った。

現在は史跡公園になっている京都市の「樫原(かたぎはら)廃寺」の発掘にも携わり、吉野さんが書いた発掘調査報告書は国会図書館に収蔵されている。

一方、化学に興味を持ったのはもっと前、小学4年生のときだ。担任教師が薦めてくれたのが、英国の化学者ファラデーが書いた「ロウソクの科学」。炎が燃える現象を分かりやすく説明したその本を読み、理科実験が楽しくなったという。

大学院で専攻した量子有機化学に、吉野さんは「考古学の研究手法が通じるものがある」と感じた。その時に仰ぎ見た存在が日本人初のノーベル化学賞受賞者となった福井謙一氏。当時は吉野さんが在籍していた石油化学科の専任教授だった。

旭化成工業(当時)に入社した1972年当時の吉野彰氏(旭化成提供)=共同

旭化成工業(当時)に入社した1972年当時の吉野彰氏(旭化成提供)=共同

長く産業界に身を置いてきたが、2017年に名城大(名古屋市)の教授に就任した。

吉野さんとの共同研究に携わった名城大の土屋文教授(50)は、先を見越した洞察力や視野の広さに加えて「とにかく優しく、自分の考えも受け止めてくれる」と包容力ある人柄を説明する。

名城大理工学研究科1年の三ツ井優人さん(24)は、ロボット工学の研究について相談した。吉野さんは「若いうちに壁にたくさんぶち当たったほうがいい」と助言してくれたという。授業中も笑顔を絶やさず、学生らは「いつも優しい先生」と口をそろえる。

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