帝国ホテル進出「祇園ブランド」再構築期待

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関西
2019/10/9 19:20
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帝国ホテルの祇園町南側地区でのホテル計画が本格的に動き出した。祇園甲部歌舞練場の敷地内にある国の登録有形文化財「弥栄会館」に耐震工事を施し、富裕層向けホテルとして活用する計画だ。同地区は京都を代表する花街のひとつだが、最近は外国人の見物客が通りにあふれ、かつての落ち着いた風情は失われつつある。帝国ホテルの誘致をきっかけに富裕層を呼び込み、「祇園ブランド」の再構築を図る。

祇園甲部歌舞練場内にある弥栄会館を活用し新ホテルとする計画だ(9日、京都市東山区)

祇園甲部歌舞練場内にある弥栄会館を活用し新ホテルとする計画だ(9日、京都市東山区)

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帝国ホテルは9日、ホテル計画に向けた検討・協議の開始について、弥栄会館を所有する八坂女紅場学園と基本合意書を締結した。富裕層向けに100室弱の客室やレストランなどを整備し、数年内の開業を目指す。

帝国ホテルにとって京都進出は長年の悲願だった。定保英弥社長は「多店舗展開はせずに高品質ホテルをつくりたいと一貫して取り組んできた。京都は紛れもなく日本を代表する都市の一つ。中でも祇園は伝統ともてなし文化が凝縮された特別な場所だ。当社ブランドとの親和性も非常に高い」と意気込む。

京都では今秋、外資系高級ホテルの「パークハイアット京都」や「アマン京都」が開業を見込むなど、国内外の高級ホテルが進出を急ぐ。こうした中、帝国ホテルは祇園の一等地への進出で面目を施した形だ。

同ホテルが進出を計画する弥栄会館は目抜き通りである花見小路通沿いに建ち、地上5階、地下1階の鉄筋コンクリート造り。1936年の竣工で、洋風建築に和の意匠を取り入れた造形が特色だ。祇園甲部組合や花街の伝統芸能の継承・振興を支援する財団などが入居する。隣接する歌舞練場などと一体で、京町家が連なる同地区では広い敷地を持つ。

歌舞練場は代々、芸舞妓(げいまいこ)が新作の舞を披露する「都をどり」などの会場として親しまれてきたが、16年以降は耐震補強工事のため建物を閉鎖していた。

学園の太田紀美理事長は「日本の迎賓館として多くの賓客を迎えてこられた帝国ホテルは最良の相手」と語る。祇園の顔にあたる歌舞練場の再開のため、耐震補強工事の費用集めは喫緊の課題だった。帝国ホテルの進出は歌舞練場再開の後押しにもなりそうだ。

祇園町南側地区は歴史的景観保全修景地区に指定され、地元の協議会が建物の様式や営業が可能な業種を自主的に定め、町並みを保全してきた。しかし、最近では花見小路通にスマホ片手の外国人観光客があふれ、車の通行が妨げられたり、営業中の店舗の敷地内がのぞき込まれたりといったマナー違反も目立つ。

同地区の店舗からは「雰囲気が台無しで、お得意さまから『何とかならないか』との要望も多い」との声があがる。このため9月末からは観光客にスマホのプッシュ通知でマナーを周知したり、2人1組の巡視員がかいわいを巡回しマナー違反を注意したりといった実証事業も始まった。

帝国ホテルの定保英弥社長(右)は「京都の象徴である祇園という場での開業は絶好のチャンス」と述べた(9日、京都市内)

帝国ホテルの定保英弥社長(右)は「京都の象徴である祇園という場での開業は絶好のチャンス」と述べた(9日、京都市内)

これに関連して、定保社長は「エリア全体の課題には我々も真摯に対応していく」と語った。学園の杉浦京子副理事長も「花見小路通の人の流れも変わるのではないか」と帝国ホテル進出に期待を示す。地域の伝統の存続に向け、元祖御三家の一角である帝国ホテルのブランド力をどう活用するかも問われそうだ。

(山本紗世)

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