教員の労働時間を柔軟に 文科省、法改正案を提出へ

2019/10/9 11:57
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教員の働き方改革を進めるため、勤務時間を年単位で管理する「変形労働時間制」の導入を柱とする教職員給与特別措置法(給特法)の改正案が9日、自民党の文部科学部会で了承された。文部科学省は4日に召集された臨時国会に提出する。成立すれば、繁忙期の勤務時間の上限を引き上げる代わりに、夏休み期間中などに休日をまとめ取りできるようになる。

年単位の変形労働時間制は労働基準法が定めている。原則として1日8時間以内と決まっている労働時間を、平均で週40時間を超えない範囲で繁忙期には延長できる。ただし1日10時間が上限。残業は通常は月45時間、年360時間以内にする必要があるが、月42時間、年320時間以内となる。

同制度は繁閑期が分かれる工場の従業員らに適用されてきたが、教員は対象外となっていた。

同省は導入した場合、学校行事などが多い4、6、10、11月の間の計13週は所定の勤務時間を週3時間増やし、夏休みがある8月に5日程度の休みを取るといったイメージを描く。有給休暇を合わせてより長く休むことも狙う。

導入の背景には教員の長時間労働問題がある。文科省の2016年度の調査では、中学校教員の約6割、小学校教員の約3割の残業時間が、おおむね月80時間超が目安の「過労死ライン」を超えていた。

給特法改正案が成立すれば、自治体の判断で21年4月から変形労働時間制の導入が可能になる。ただ、現場の教員からは「夏に休める保証はない」「夏休み前に過労で倒れてしまう」といった声も上がる。

導入反対の署名活動などに取り組む公立高校教員、西村祐二さんは、給特法の抜本改正を主張する。同法は残業代を払わない代わりに、基本給の4%を「教職調整額」として支給すると規定。これが長時間残業を招いているとし、時間に見合った残業代を払う内容に変えるべきだとしている。

8日の集会で高校教員の西村祐二さん(左)らは給特法の抜本的な見直しを訴えた(東京・千代田)

8日の集会で高校教員の西村祐二さん(左)らは給特法の抜本的な見直しを訴えた(東京・千代田)

部活動や校務を含む業務量の削減、教員の増員を優先すべきだとの声もある。野党側からも同様の意見が出ており、国会で議論される見通しだ。

教員の働き方改革では、中央教育審議会が1月、残業時間の上限を「月45時間、年360時間」とするガイドラインの順守を柱とした答申を提出。教員の自発的な行為とされてきた部活指導や授業準備なども含めて勤務時間とし、タイムカードなどによる管理を求めた。

改正案はガイドラインを文科相が定める「指針」に格上げすることも盛り込んだ。同省は各自治体に指針の順守を求め、勤務時間を把握していない自治体名や、自治体ごとの教員の勤務時間も今後公表する方針。部活動指導員など外部人材の活用も進める考えだ。

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