FRB、資産購入再拡大へ 短期金利の上昇抑制

経済
北米
2019/10/9 3:43 (2019/10/9 4:52更新)
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8日、米コロラド州デンバーで講演するFRBのパウエル議長=AP

8日、米コロラド州デンバーで講演するFRBのパウエル議長=AP

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は8日の講演で、9月以降の短期金利の乱高下を防ぐため「FRBの保有資産の拡大が必要だ」と表明した。具体策は「近日公表する」と述べるにとどめたが、量的緩和時と同様に米国債の購入を積み増す見込みだ。金利政策については「経済成長の持続へ適切に行動する」と指摘し、追加利下げに含みを持たせた。

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米短期金融市場では9月以降、金利が乱高下するなど不安定な状況が続いている。FRBで金融調節を担うニューヨーク連銀は、連日のように民間金融機関に臨時で資金供給する非常時対応を繰り出しており、短期市場を安定させる抜本策が求められていた。

パウエル氏は米西部コロラド州での講演で「短期金利の乱高下は金融政策の効果的な実行を妨げている」と強い懸念を表明。その要因の1つとして、民間銀行がFRBに余剰資金を預ける準備預金が急減していることを挙げて「近く準備預金を積み増せる施策を公表する」と述べた。

FRBは2014年に量的緩和を終了し、段階的に米国債などの保有資産を圧縮してきた。その結果として、銀行システム全体の資金量が少なくなり、余剰資金の置き場となるFRBの準備預金も2年で3割減少した。短期資金をやりとりする銀行間市場にマネーが出回りにくくなり、それが金利の乱高下につながっている。

パウエル氏は「準備預金の供給積み増しは、我々のバランスシートの増大を求めることになる」と述べ、保有資産の再拡大に踏み切る考えも表明した。FRBは保有資産を圧縮する量的引き締めを19年7月に終了したばかりだが、再び米国債などの買い入れを増やす見込みだ。購入資産としては「短期国債を検討している」と述べた。

FRBが米国債の買い入れを積み増せば、金利には下落圧力がかかる。ただ、パウエル氏は「金融危機後の大規模な資産購入と混同すべきではない」と述べ、量的金融緩和の再開との見方は強く否定した。新たな資産購入は、短期金融市場の資金不足を解消するための施策と位置づけた。

FRBは10月29~30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開くが、先物市場では7割強の確率で3会合連続の利下げを織り込んでいる。パウエル氏は「米経済の拡大が続くとみている」と強調しつつも「貿易を巡る不確実性などリスクがある」と指摘。金利政策では「成長持続へ適切に行動する」と述べ、追加利下げに踏み切る可能性に含みを持たせた。

ただ、物価と雇用の動向は「現段階では好ましい状況だ」とも主張して「次回の会合まで追加の情報を注視する」と述べた。9月のFOMCでは、会合参加者17人のうち、年内の追加利下げを見込むメンバーは7人にとどまった。委員会内はなお利下げに消極的な意見が多く、パウエル氏も早期の利下げを強く示唆するのは避けた。

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