英官邸、離脱合意は「不可能」 英独首相が電話会談

英EU離脱
ヨーロッパ
2019/10/9 2:27
保存
共有
印刷
その他

英の離脱条件に関する新提案について、ジョンソン首相の本気度を疑問視する声もある(8日、ロンドン)=ロイター

英の離脱条件に関する新提案について、ジョンソン首相の本気度を疑問視する声もある(8日、ロンドン)=ロイター

【ロンドン=中島裕介】英国の欧州連合(EU)離脱を巡って英首相官邸の関係者は8日、英・EUが離脱条件で合意することは「基本的に不可能だ」と語った。複数の英メディアが報じた。英政府は2日に離脱条件の新提案をEUに提出したが、アイルランド島の国境問題を中心にEU側が受け入れに難色を示していた。離脱期限が10月末に迫る中で、英・EUが折り合うメドが立たない状況が続いている。

官邸関係者によると、ジョンソン英首相と電話会談したドイツのメルケル首相は8日、英国の新提案での合意は「まったくもって有り得そうにない」とジョンソン氏に伝えた。英側は2日の提案を「最終提案」と位置づけていた。

このためジョンソン政権は、メルケル氏の反応を受けて新提案の修正ではなく、経済に混乱を及ぼす「合意なき離脱」を断行する姿勢を示したものとみられる。離脱準備を手掛けるゴーブ・ランカスター公領相は8日の英議会で「経済界は合意なき離脱の準備をする必要がある」と訴えた。

もっとも英が漏らした英独首脳の電話協議の内容についてドイツはコメントを拒否しており、EUも「我々の立場と違う」との見方を示している。英・EUは17~18日のEU首脳会議に向けて、週内に新提案に関する一定の結論を得たい考え。離脱合意が不可能との英の主張は、EU側も避けたい「合意なし」をちらつかせた英側の瀬戸際戦術との見方もある。

EUのトゥスク大統領は8日、ツイッターで英政府の姿勢について「大事なことはバカらしい責任の押しつけ合いではない。英国と欧州の未来だ」と批判。英国に真摯に協議に臨むよう訴えた。

英・EUの離脱協議では、英領北アイルランドと地続きのEU加盟国アイルランドに物理的な国境を設けずに、どう通関手続きなどを行うかが最大の課題になっている。ジョンソン氏の新提案は、英国がEUの関税同盟を離脱する一方で、農産品や工業製品などの基準については北アイルランドに限ってEUルールに合わせるのが柱だ。

ただ新提案では南北アイルランド間での関税徴収の具体策が見えず、密輸が増える危険性もある。北アイルランドがEUルールに合わせるかどうかについても、同地域の議会に拒否権があり提案の中身が骨抜きにされかねない。EUはこうした点が修正されない限りは、ジョンソン氏の新提案を容認しない構えだ。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]