検察の捜査権縮小 韓国法相が検察改革案

朝鮮半島
2019/10/8 18:26
保存
共有
印刷
その他

【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の曺国(チョ・グク)法相は8日、検察改革案を発表した。特捜部の廃止などで検察の捜査権を縮小するほか、法務省による検察への監察権を強化するのが柱。強大な権限を握る検察の力をそぐ狙いだ。ただ曺氏は自身や親族が検察による捜査の対象になっており、野党は「曺国に検察改革を語る資格はない」と批判した。

8日、ソウル近郊で記者会見する韓国の曺国法相(共同)

曺氏は同日の記者会見で「毎日苦痛でつらいことが多いが、検察改革が果たせるよう勇気と知恵を与えてくれる国民の力で、一日一日を耐えることができた」として「最後の瞬間まで検察改革にまい進する」と語った。

改革案は「即日」「月内」「年内」の3段階で規定の整備や改定に取り組む。8日に施行したのは「検事派遣審査委員会指針」だ。検察は国家情報院や外務省など37機関に検事を派遣している。これが検察の影響力を強めているとみて、外部委員などで構成する同委が厳密に審査して派遣者数を最小限に絞る。

月内に取り組むのは検察による直接捜査の縮小だ。全国に7カ所ある特捜部のうち4カ所を廃止し、ソウル中央地検など残る3カ所を「反腐敗捜査部」に改編する。国会では検察の捜査権を警察に大幅移管する法案が上程されており、犯罪の構成要件や処罰価値を判断する役割に軸足を移す。

法務省による検察の監察も強化する。法務省による監査は検察からの出向者が担当するのが慣例で「セルフ監察」との批判が強いことから、法務省のプロパーや外部の弁護士が監査する体制を検討する。長時間・深夜に及ぶ検察捜査の慣行を改め、1日8時間までに制限するなど、被疑者の人権への配慮も盛りこんだ。

韓国の検察は捜査指揮権や起訴権などの権限が集中する一方、外部によるチェック機能も働きにくく、強力な権力機関になっている。組織維持のため政権の意向に沿って政敵を捜査するなど、政治との癒着も問題視されてきた。歴代大統領の多くは退任後に検察の捜査を受け、李明博(イ・ミョンバク)氏、朴槿恵(パク・クネ)氏は実刑判決を受けた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏も親族の不正資金疑惑で検察の事情聴取を受け自殺した。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領も盧政権で民情首席秘書官として検察改革に取り組んだが未完に終わった。盧氏の死を「政治報復」とみる文氏は検察に不信感を持つ。

検察改革は文政権に引き継がれ、民情首席秘書官として具体案をまとめたのが曺氏だ。文氏が保守派の強い反対を押し切って曺氏を法相に任命したのは、検察改革を遂行できる人材は他にいないという判断からだ。

野党は反発している。自由韓国党は8日「国民は曺国の検察改革が自分の家族を守るためのものだということを知っている」と批判した。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]