韓国KT、非武装地帯の村に5G スマート農業活用

5G
アジアBiz
2019/10/8 18:06
保存
共有
印刷
その他

韓国と北朝鮮の休戦ラインを挟んで帯状に広がる非武装地帯(DMZ)の韓国側にある唯一の村、台城(テソン)洞。人の出入りが厳しく統制される「陸の孤島」に、韓国通信大手KTが次世代通信規格「5G」インフラを構築した。有事の安否確認やスマート農業、遠隔教育などのサービスを提供する。

非武装地帯(DMZ)にある唯一の村、大成洞。モニター画面で村民の安否がリアルタイムで確認できる

5Gを使ってセンサーが土壌の状態を完治し自動で散水する(台城洞)

ソウルから車で1時間あまり。韓国軍による検問を経てたどり着いた台城洞は46世帯、約200人が暮らすのどかな農村だ。1953年の朝鮮戦争の休戦協定で、南北はDMZ内にひとつずつ村を置くことを決めた。台城洞は同年、そうしてつくられた。休戦ラインの反対側に北朝鮮がつくった宣伝村、機井(キジョン)洞は目と鼻の先だ。

南北関係の改善で多少は和らいだとはいえ「私たちはいまも緊張下で暮らしている」(村の男性)。500メートルしか離れていない休戦ラインに近づくときは軍人のエスコートが必要だ。村の出入りにも門限がある。

KTは5Gを使い、村民の不便を解消するソリューションを提供する。一例は安否確認システムだ。村には警察も病院もない。問題が起きればまずは里長が対応する。全世帯に非常ベルが設置され、村民がボタンを押せば、里長が常駐する村民会館の大型モニターでどの家で押されたかがすぐにわかる。

農業のスマート化も進めた。センサーが土壌の状態を検知し、スプリンクラーが自動散水する。2キロ離れた貯水池の水門の開閉はスマートフォンで遠隔操作できるようにした。これまでは軍人同行で毎日現場に行き、手動で開閉していた。里長の金東九(キム・ドング)さん(50)は「時間が節約でき、家族と過ごす時間が増えた」と語る。

村にある唯一の学校、台城洞小学校では仮想現実(VR)などを使った授業が取り入れられている。室内体育ではボールを使った的当てなどのゲームができ、他校とのオンライン対戦も可能だ。

KTでは8月現在、携帯電話の加入者のうち4.8%が5Gを利用しており、同社は今後も比率の拡大をめざしている。南北分断の象徴である台城洞を「ショーケース」とすることで、5G普及に弾みをつけたい考えだ。(台城洞で、鈴木壮太郎)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]