進まぬ修理、迫る新たな台風… 千葉・被害から1カ月

2019/10/8 17:30
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台風15号による屋根の破損などの住宅被害は千葉県内で3万戸を超えるが、直撃からほぼ1カ月がすぎても修理は進んでいない。被災者は自宅の修理費や再建までの生活費に頭を悩ませながら、新たに迫る台風19号への対応に追われている。

台風15号で被害を受けた住宅の応急処置と修復が進む(8日、千葉県鋸南町)

「いまだに修理代の見積もりもできない。予算が足りなければ借金も考えないと」。屋根瓦がはがれ、窓ガラスが割れた戸建て住宅にブルーシートを張って暮らす同県鋸南(きょなん)町の生稲一芳さん(59)はため息をつく。町内の工務店に修理を頼んだが「400軒待ちで1年以上かかる」と言われたという。

台風被害の3日後に町役場に罹災(りさい)証明書を申請したが、発行の連絡はない。民間の保険会社も対応に追われており、「公的支援や民間保険でもらえる金額が分からない」と話す。週末の3連休には新たな台風19号が近づくなか「屋根が修理できるまで悪天候のたびにやきもきするのか」と困惑する。

同町の女性(73)の自宅は強風で飛ばされてきた隣家の屋根が直撃し、8月にリフォームしたばかりの屋根が壊れた。自衛隊が9人がかりでブルーシートを土のうで固定し、応急処置が済んだのは10月に入ってから。「リフォーム費用の支払いも終わっていない。保険からいくら支払われるか分からないが、銀行からお金を借りて直さないといけないだろう」とうなだれる。

ファイナンシャルプランナーの平野敦之氏によると、一般的に住宅の火災保険は台風などによる風水害は自然災害でも補償対象になっている。「建物や家財を補償する損害保険金のほか、その他の費用をカバーする費用保険金が支払われる。契約によっては修復以外の費用にも充当できる可能性があるので確認してほしい」と助言する。

台風15号がもたらしたのは強風による直接被害だけではない。千葉県市原市ではゴルフ練習場の鉄柱が倒壊し、近隣住宅を直撃。同市は避難が必要な住民に借り上げ住宅を最長1年間、無償提供する。住宅に出入りできなければ罹災証明がなくても利用を認める。「被害の大きさをみて急ぎ始めた」(市住宅課)

練習場側から住宅の改修や生活費の補償に関する詳しい説明はない。東京都江戸川区の解体業者が鉄柱の無償撤去を名乗り出ているが、被害を受けた住民にとって不透明な状況は続いている。

民法は建造物などに欠陥(瑕疵=かし)があって他人に損害を与えた場合は所有者が賠償責任を負うとしている。ただ災害時の法制度に詳しい岡本正弁護士は「自然災害の場合は判断が難しく、損害が減額される可能性がある」と指摘する。

責任が認められても、練習場側が撤去費や補償を払えない可能性もある。岡本弁護士は「2018年の西日本豪雨では民家などに流れ込んだ土砂を公費で撤去した。鉄柱の除去などについても公費撤去の余地がないか検討すべきではないか」と話している。

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