タイ特区トップ「移転企業に税優遇」 貿易戦争で誘致

2019/10/8 17:00
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タイの経済特区、東部経済回廊(EEC)のカニット事務局長は都内で日本経済新聞の取材に応じ、米中貿易戦争を受けて製造業などがタイ国内に拠点を移す動きを促すため「税制上の優遇措置をできる限り多く設けたい」と語った。法人税軽減などでEEC内の先端技術の研究開発を加速し、米国が制裁関税を課す中国からタイ国内への企業移転を呼びかける。

カニット・センスバン 東部経済回廊 事務局長

米中貿易戦争のあおりを受け、タイは4~6月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比2.3%増と1~3月期(2.8%増)に比べ減速。中国など主要貿易相手国への輸出が減り、19年の成長率予測も2.7~3.2%に下方修正した。カニット氏は「プラスとマイナス両面があるが、現在はマイナスの影響が色濃い。非常に厳しい状況だ」と指摘した。

中期的にはタイが利益を得る可能性が高いとした。「米中貿易戦争はアジア地域の目を覚ます警告の役割を果たす。アジア諸国は(影響を抑えるために)互いにもっと協力しなければならない」と訴えた。ただ、企業のタイ国内への移転は「経済的な裏付けに基づくべきで、タイの発展に沿わないものは受け入れない」とも主張した。

タイ政府は先進国入りをめざす「タイランド4.0」の実現に向け、EECの開発を加速させている。「新たな技術の導入で人々の生活を刷新できる」と述べ、重点分野として人工知能(AI)やあらゆるモノをネットでつなぐIoT、自動車産業を挙げた。

タイの技術革新には次世代通信規格「5G」の活用が不可欠だと述べ、個人情報の入手や国家安全保障上の懸念が指摘されている華為技術(ファーウェイ)とも「協力を辞さない」と明言した。

中国が進める「一帯一路」政策をめぐり「空港開発などでは日本と中国の連携が可能だ」と述べた。タイは中国からの借り入れに依存しておらず、タイは自国が真に必要とする事業に集中できているとした。

バンコク東方の経済特区であるEECでは、日本や中国など外資企業の協力の下で空港や港の拡張、高速鉄道の整備が進む。通信のインフラを整え、次世代自動車やデジタル関連産業の振興を目指す。

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