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気候変動、企業の対応力に投資指針 官民サミット開幕

政府は8日、地球温暖化など気候変動が企業業績に及ぼす影響の分析・開示を求める「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」サミットを都内で開いた。投資家が企業の気候変動への対応力を評価する際の指針も公表した。世界の金融市場が環境・社会・企業統治(ESG)を重視するなか「見える化」を推進し、中長期の投資マネーを呼び込む。

会議には、経団連や英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど産業界、米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など国内外の機関投資家が参加した。

菅原一秀経済産業相は「産業・金融界で気候変動への対応をコストでなく競争力の源泉として共有し、投資行動につなげる環境をつくり、世界をリードしたい」とあいさつ。英イングランド銀行のマーク・カーニー総裁は「気候変動への対応を金融面から支援する流れは遅れている」と語った。

投資家のESG投融資では、新規の石炭火力への融資を中止するといった動きが広がっている。サミットでは、投資家が「もの言う株主」として、企業の気候変動への対応に積極関与すべきだとの意見が相次いだ。

カルパースのユ・ベン・メン最高投資責任者(CIO)は「(石炭などからの)投資引き揚げだけでは社会全体の排出量を減らしにくい。投資を通じて発言権を持ち、声を上げていくことがより重要だ」と強調した。

企業の情報開示を巡っては、企業活動が気候変動に及ぼすリスクに関心が集まりがちだ。一方、先端的な環境対応技術など企業の強みも投資家が評価できるようにすべきだといった声も多い。MSCIのベア・ペティット・プレジデントは「気候変動に関する情報開示が、将来より良い投資を引き出すための仕組みだと企業に理解してもらう必要がある」と述べた。

このほかサミットでは、経済成長に伴い温暖化ガスの排出量が増えるアジアでの情報開示に関する課題も議論。「気候変動に対応するうえで、アジア企業にも開示を促すことが効果的だ」との見方で一致した。

TCFDは主要国の金融当局からなる金融安定理事会(FSB)が設置。世界で850超の企業や団体が支持している。国別でみると、日本が最多で194機関が賛同している。5月に伊藤邦雄一橋大特任教授や中西宏明経団連会長が発起人となり「TCFDコンソーシアム」を新設したことが追い風となっている。

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