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五輪とパラ 相乗効果もたらす真の融合とは
マセソン美季

2019/10/9 18:00
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ナショナルトレーニングセンターは五輪とパラの共用の強化拠点になった(東京都北区)

ナショナルトレーニングセンターは五輪とパラの共用の強化拠点になった(東京都北区)

カナダのパラリンピアン、トッド・ニコルソンさんがこのほど来日した。アイススレッジホッケー(現パラアイスホッケー)の選手として、1994年リレハンメル大会からパラリンピックに5大会連続出場。旗手も務めた2006年トリノ大会では金メダルを獲得している。

現役引退後はパラリンピックムーブメントの推進に力を注ぎ、国際パラリンピック委員会(IPC)の理事とアスリート評議会会長も歴任した。現在は、カナダの「表彰台を独占せよ」と名付けられた非営利団体のトップとして、五輪・パラリンピックでメダルを獲得できるよう、様々な分野の技術や知見を集約する活動をしている。

日本では、地域におけるパラスポーツの普及・推進や強化について、カナダの取り組みを紹介した。一つの成功例として、五輪・パラ競技団体の「インクルージョン」、つまり組織の融合を挙げた。

日本と同様、カナダでもオリとパラの競技団体は距離があった。その異なる組織を混ぜ合わせようと、まずは双方からヒアリングし、互いの共通項を探した。その中で、スポーツ医科学研究やデータ測定、解析技術などは、障害のあるなしにかかわらず共通に利用できることが多いのに気づいたそうだ。

そもそも競技成績の8割は、試合までの活動で決まる。競技独特の用具や戦術が占める割合は2割ほどという。共通点を洗い出して両団体で共有すると、費用の削減だけでなく、相乗効果も生まれた。日本のオリ・パラ両選手の強化拠点として新たに運用が始まったナショナルトレーニングセンター拡充棟を見学し、その概念が反映されていることを高く評価していた。

日本への助言として、ニコルソンさんは「日本独自のインクルージョンの定義を明確にすること」を提案した。インクルージョンとは、全ての人に参画の機会が与えられることであり、意思決定の場で少数派が活躍できるかが重要な鍵となる。

彼は来日中に交換した名刺の山を見せてくれた。8割が男性のもの。女性の私にできることは、まだまだあると勇気づけられた。

マセソン美季
1973年生まれ。大学1年時に交通事故で車いす生活に。98年長野パラリンピックのアイススレッジ・スピードレースで金メダル3個、銀メダル1個を獲得。カナダのアイススレッジホッケー選手と結婚し、カナダ在住。2016年から日本財団パラリンピックサポートセンター勤務。国際パラリンピック委員会(IPC)教育委員も務める。

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