トランプ氏、バイデン氏たたき 側近活用で材料集め

2019/10/7 19:11
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米大統領再選を目指すトランプ氏にとって民主党のバイデン前副大統領が脅威になっている=AP

米大統領再選を目指すトランプ氏にとって民主党のバイデン前副大統領が脅威になっている=AP

【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領がウクライナ政府にバイデン前副大統領の調査を働きかけた疑惑で、トランプ氏の側近が調査実現に向けて協力した様子が浮かび上がってきた。トランプ氏は自身の意向に不満を漏らす外交官を冷遇しており、側近重用が同氏の外国政府との危ういやり取りに拍車を掛けている。疑惑は中国やオーストラリアでも浮上し、野党・民主党は追及を強める方針だ。

ウクライナ疑惑を巡っては6日、2人目の内部告発者が現れた。1人目の内部告発者の弁護士を務めるマーク・ザイード氏は同日、米メディアに「新たな内部告発者は疑惑を直接目撃した」と強調した。トランプ氏は1人目の告発内容を2次情報に基づくもので不正確だと反論していた。政権内のやり取りを把握する新たな告発者の存在はトランプ氏に打撃となる可能性もある。

ウクライナ疑惑では、トランプ氏が2020年の大統領選で優位に立つため、民主党の有力候補バイデン氏に不利な情報の提供をウクライナ政府に求めたり、軍事支援と引き換えにバイデン氏の調査を働きかけたりしたかが焦点だ。事実ならばいずれも米連邦法違反だ。外交政策を利用し政治的利益を得るのは合衆国憲法に抵触するとの批判も根強い。

民主党の調査が進むにつれて、疑惑の真相も徐々に判明してきた。疑惑の中心人物はトランプ氏の顧問弁護士ジュリアーニ元ニューヨーク市長だ。同氏は外交官の仲介を受け、ウクライナ大統領側近と面会を重ねた。

6日のFOXニュースのインタビューでは「政敵が殺人を犯しても調査してはいけないのか」とも主張。ウクライナ政府に調査を働きかけたのは適切だと正当化した。

ジュリアーニ氏はトランプ氏の最側近で、18年春にトランプ氏の顧問弁護士に就任した。米大統領選にロシア政府が介入した疑惑の追及からトランプ氏を守り、私人としてウクライナ政府に接触したのも同氏の指示を受けたものとみられる。

米メディアによると、ジュリアーニ氏はウクライナ政府にバイデン氏の調査を促すうえで、駐ウクライナ米大使だったマリー・ヨバノビッチ氏が障害になっているとトランプ氏に伝えた。ヨバノビッチ氏は5月に召還され、その後にウクライナ政府へのトランプ政権の働きかけが強まった。

もう一人の疑惑のキーマンはゴードン・ソンドランド駐欧州連合(EU)大使だ。ウクライナ政府がバイデン氏の調査に関する声明を用意すればトランプ氏との首脳会談の日程を確定すると伝達したとされる。

米メディアによると、ソンドランド氏はトランプ氏に100万ドル(約1億700万円)の大口献金をした。ホテルビジネスで巨額の富を築き、公職経験がほとんどないもののEU大使に指名された。政権中枢から「親トランプ派」としてウクライナ政府との折衝を任された可能性がある。

ウクライナ疑惑の実態はトランプ氏に苦言を呈す歯止め役が政権内にいない現状を浮き彫りにした。

ポンペオ国務長官は米ウクライナ首脳の電話協議に同席し、トランプ氏による調査要請を把握していたにもかかわらず黙認した。意向に従わない人物を容赦なく解任するトランプ氏の絶大な影響力をテコに、親トランプ派が外交官を巻き込み、ウクライナ政府に働きかけを進めた構図だ。

トランプ氏の疑惑はウクライナにとどまらない。同氏は腐敗撲滅を名目に中国にもバイデン氏の調査を求めた。トランプ氏はバイデン親子が中国で不透明なビジネスをしたと主張している。

米メディアによると、トランプ氏の選挙陣営が16年の大統領選でロシア政府と共謀した疑惑の検証作業には、バー司法長官が中心となりオーストラリアやイタリア、英国に協力を働きかけた。ロシア疑惑を否定するよう促し、トランプ氏を追及した民主党への打撃を狙った可能性がある。

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