北海道でジビエ消費拡大、全国の4割超占め断トツ

2019/10/7 18:20
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北海道でシカやカモなど野生鳥獣の肉「ジビエ」の消費が広がっている。農林水産省の調査によると、2018年度に道内で利用されたジビエは824トンに上り、全国の4割超を占めた。食材としてのジビエ人気が高まっていることにくわえ、農林水産業に深刻な被害を与える鳥獣駆除の効果が浸透してきた。

仏料理店のゴーシェ(札幌市)では鹿肉などのジビエ料理が人気だ

仏料理店のゴーシェ(札幌市)では鹿肉などのジビエ料理が人気だ

北海道はシカを中心に野生鳥獣が多く生息し、ジビエの利用量は都道府県別で断トツ。農林水産省が鳥獣の食肉処理施設に実施した調査によると、18年度の北海道のジビエ利用量は824トンで、全国の44%を占めた。うちペットフード向けなどを除き、食肉用として販売するために道内で処理するのは628トンで17年度から25%増えている。

ジビエは牛や豚など一般的な食用肉と比べてマイナーだが、脂肪が少なく人気を集める食材。独特の臭いや十分な加熱調理が必要なため家庭の食卓に浸透しているとはいえないが、調理器具の整った飲食店ではメニューとして扱うところが増えている。

北海道には18年度末時点で360以上のジビエを扱う販売店や飲食店がある。肉料理を扱う仏料理店「ゴーシェ」(札幌市)はエゾシカやクマ、カモなどのジビエ料理を提供する。店主の小鹿陽介さんは「鹿肉を食べに本州や九州から訪れる観光客が増えている」と話す。「北海道は海鮮がおいしいという印象が強いが、鹿肉も浸透し始めている」と手応えを感じている。

ジビエ消費は全国でも拡大基調。18年度の利用量は前年度比16%増の1887トン。食肉を適切に処理できる施設が増えているからだ。食肉の種類はシカが最多で、次ぐのはイノシシ。これまでは土に埋めることも多かった駆除動物を円滑に消費へと回すサイクルができつつある。

鳥獣による農作物の食害は深刻だ。道によると、野生のエゾシカが牧草や稲などを食べることによる被害額は、17年度が前年度から約1千万円増の39億2800万円に上る。被害額が1億円を超える自治体は10市町に上るなど主に農業で深刻な影響が広がる。

道によると、道内で狩猟免許を持ち、専用の登録を受けた人は17年度時点で約8200人。前年度から100人弱増えた。国は市町村を通じ、狩猟免許を取得した人を対象に取得にかかった経費の一部を補助する仕組みを整え、狩猟者の増加を後押ししている。

一方で既存の狩猟者は高齢化しており、若者の流出が続く過疎の地域では駆除が追いつかないケースも目立つ。レシピ開発や鮮度管理を高度化してジビエの食材としての活用を拡大するだけでなく、将来にわたって狩猟者の確保を進める努力にも終わりはない。

(塩崎健太郎)

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