親イラン政権に打撃 イラク市民デモで死者100人超

中東・アフリカ
2019/10/7 18:37
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【カイロ=飛田雅則】イラクで発生した反政府デモを巡り6日、デモ隊と治安当局との衝突による死者数が100人を超えた。2018年秋に発足したアブドルマハディ政権に対し、人口の6割を占めるイスラム教シーア派の有力指導者が首相退陣を要求した。親イランの同政権は窮地に立たされている。イランと対立するサウジアラビアの思惑も絡み、混乱が長期化する恐れもある。

イラクでは6日もデモ隊と治安部隊の衝突が続いた=AP

1日に首都バグダッドで始まったデモは、中部ディワニヤや南部バスラなど各地に広がり、治安当局は催涙弾や実弾でデモ隊の排除に乗り出していた。ロイター通信によると、内務省の報道官は6日の国営テレビで、これまでに少なくとも104人が死亡し、6000人以上が負傷したと明らかにした。

エコノミスト出身のアブドルマハディ氏はシーア派だが、デモ参加者は高い失業率や公共サービスの不足、横行する汚職などの問題に対処できていないとして、抗議に立ち上がっていた。

デモの拡大を受け、シーア派の有力指導者でイラク最大の政党連合を率いるサドル師は4日、首相退陣と早期の総選挙の実施を要求した。イラクのシーア派最高権威であるシスタニ師も同日、デモ隊と治安部隊の双方に自制を呼びかけ、改革が遅れる政権を批判した。支持基盤であるシーア派の離反はアブドルマハディ氏にとって打撃だ。

イラクは多数派のシーア派と少数派のスンニ派、クルド人の主に3つのグループからなる「つぎはぎ国家」といわれる。米軍の侵攻で崩壊したフセイン政権はスンニ派主体。同政権崩壊後、シーア派から冷遇されたスンニ派の不満の受け皿となったのが、14年に「国家樹立」を宣言した過激派組織「イスラム国」(IS)だった。

一時はイラクと隣国シリアの広範な地域を支配したIS掃討で両国での存在感を高めたのがイランだ。精鋭の革命防衛隊や民兵を送り込み、両国の政権に一定の影響力を持つようになった。これに危機感を抱くのがスンニ派の盟主サウジだ。

首相退陣を要求したサドル師は反イラン・反米を掲げ、17年にサウジを訪問して以降、同国との関係を深めている。サドル師の退陣要求の背景にはサウジの思惑が働いているとの見方もある。

中東のイエメン内戦は、サウジとイランの代理戦争の様相を呈し、泥沼化している。イラクが新たな代理戦争の舞台となり事実上の内戦に逆戻りする懸念は拭えない。

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