トランプ氏、バイデン氏潰しに固執 「中国疑惑」主張

トランプ政権
北米
2019/10/6 19:00
保存
共有
印刷
その他

【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領がバイデン前副大統領に対する批判を強めている。バイデン氏の息子ハンター氏が中国で不正なビジネスをしていたと主張し、中国に対して腐敗撲滅のための協力を求めた。2020年の大統領選で最大のライバルになりうるバイデン氏の疑惑をたきつけて支持率を下げる狙いだ。中国への協力要請は今週の米中貿易協議に影を落とすとの見方もある。

集会に出席したバイデン前米副大統領(2日、米ネバダ州)=ロイター

「彼の息子は何の経験もないのに(中国から)資金調達をしたのは全く良くないことだ」。トランプ氏は4日、ホワイトハウスで記者団に対してこう主張し、中国はバイデン氏親子の調査を通じて腐敗撲滅に協力すべきだと訴えた。腐敗撲滅について「私は責任があると本当に感じている」とも強調した。

トランプ氏が問題視するのは、ハンター氏が関与する中国の投資会社をめぐる疑惑だ。米メディアによると、バイデン氏が13年12月にオバマ政権の副大統領として訪中した際、ハンター氏が政府専用機に乗って同行した。その直後に中国の実業家が立ち上げた投資会社の役員にハンター氏が就任。のちに10%の株式を保有した。

トランプ氏は、バイデン氏が中国政府に働きかけて息子の中国ビジネスを支援したと疑う。投資会社の他の株主には中国政府系金融機関が名を連ねる。トランプ氏はオバマ政権下でバイデン氏が中国に融和的な政策をとったのは、ハンター氏がビジネスで中国政府から便宜を図ってもらったからだとも訴える。外交政策を利用して個人的利益を得たとの主張だ。

ハンター氏は投資会社の株主になった時期をトランプ政権下の17年10月だと説明し、中国ビジネスで父親の支援は受けていないと反論する。投資会社の設立が訪中直後だったのは偶然だと主張。父親のバイデン氏も「海外ビジネスについて息子と議論したことは全くない」と説明し、疑惑を真っ向から否定している。

トランプ氏がウクライナに続いて中国でもバイデン親子の不正疑惑を持ち出すのは20年の大統領選で優位に立つ狙いがある。主要世論調査でバイデン氏は大統領選に向けた民主党の指名争いのトップに立つ。中道派のバイデン氏は無党派の支持を集められるとの見方が多く、大統領再選を目指すトランプ氏にとって脅威だ。

バイデン氏の支持率を下げて、民主党の左派ウォーレン、サンダース両上院議員が民主党の大統領候補に指名されやすい環境をつくる思惑もありそうだ。両氏は国民皆保険制度など「大きな政府」を志向してリベラル色を強めており、保守層を支持基盤にするトランプ氏にとって対立軸を打ち出しやすい。

バイデン氏をめぐる問題は結果的に今週の中国との貿易交渉にも影響を与えそうだ。米紙ニューヨーク・タイムズは「中国からよほどの大きな譲歩を引き出せない限り、貿易交渉での合意が一層難しくなった」との専門家の見方を伝えた。安易に合意すればバイデン氏の調査でなんらかの取引があったと疑われかねないからだ。

トランプ氏は4日、バイデン氏の調査と貿易交渉は「無関係だ」と述べた。中国がバイデン氏の調査に着手しても貿易交渉での見返りは与えないと説明した。だがトランプ氏が両者を関連づけて中国と取引するとの懸念もくすぶる。

トランプ氏はこれまでも貿易交渉に関連して中国に不適切な提案をしたとされる。CNNテレビによると、トランプ氏は6月中旬の習近平(シー・ジンピン)国家主席との電話協議で貿易交渉を進展させるために香港で起きるデモ問題に深入りしない考えを伝えた。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]