香港経済、深まる混迷 アジアの金融ハブ揺らぐ

習政権
中国・台湾
アジアBiz
2019/10/5 22:23
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5日、香港ではマスク姿でデモに参加する人が相次いだ=ロイター

5日、香港ではマスク姿でデモに参加する人が相次いだ=ロイター

【香港=木原雄士】香港の大規模デモが経済に深刻な打撃となってきた。5日は香港内のほぼすべての鉄道が運行を停止し、大型商業施設やスーパーマーケットの臨時閉店も相次いだ。中国寄りとみなされた企業への破壊行為も止まらない。覆面禁止の措置で混乱に拍車がかかっており、アジア有数の金融都市やハブ空港の役割が一段と低下しかねない情勢だ。

香港島東部の西湾河(サイワンホー)。日本人や韓国人の駐在員も多い静かな住宅街のコーヒーチェーン「スターバックス」は5日、窓ガラスに大きく「罷食(飲食ボイコット)」と落書きされ、緑色の看板が破壊された。同チェーンを展開する香港の外食大手、美心集団(マキシムグループ)の創業者の娘がデモを批判したことで、デモ隊の攻撃対象になっている。

中国国有大手の中国銀行はATMの破壊が相次ぎ、4日夜には一部支店が焼き打ちにあった。中国本土系の銀行は5日、デモの過激化を懸念してATMを閉鎖した。

香港のデモは当初、道路を行進するだけの平和的なものだった。7月ごろから政府施設の破壊や警察との衝突が目立ちはじめ、8月には香港国際空港にデモ隊が押し寄せた。デモ隊が「中国寄り」とみなす企業への攻撃を強めたのは9月。香港鉄路(MTR)が運営する地下鉄や、マキシムと関係がある「元気寿司」や「一風堂」なども被害にあった。

混乱を受けて中国本土からの観光客が激減し、大型イベントの中止も相次ぐ。8月の小売売上高は前年同月比23%減と急減した。デモが行われる週末に商業施設が閉鎖するケースも相次ぐ。9月は観光客や消費がさらに落ち込むのは確実だ。

過激化するデモの長期化は、香港が長年かけて築いた金融都市の地位を根底から崩しかねない。英シンクタンク、Z/Yenグループがまとめた2019年の国際金融都市ランキングによれば、香港はニューヨーク、ロンドンに次ぐ3位だった。政治の安定も評価され、国際金融センターとしてアジアでトップの存在感を誇ってきた。

だが外資系金融機関の間でアジアの中核拠点として香港を敬遠する動きが徐々に広がりつつある。ライバルであるシンガポールへの移転が進めば、金融面での競争力の低下は避けられない。香港政府の覆面禁止の措置が、経済への打撃を一層深刻にする恐れもちらつく。

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