文化や技術 5000年後に語り継ぐ(古今東西万博考)
1970年・大阪 タイムカプセル

関西タイムライン
コラム(地域)
2019/10/8 7:00
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当時の超小型テレビや植物の種子、貨幣などが入れられた

当時の超小型テレビや植物の種子、貨幣などが入れられた

1970年の大阪万博でパナソニック(当時は松下電器産業)は伝統的な天平建築の様式を取り入れたパビリオンを出した。来場者の注目を集めた展示物のひとつが球状の巨大なタイムカプセルだ。内径は1メートル、重さは1.6トンにもなる。パナソニックミュージアムの川原陽子副館長はカプセル製作の理由を「創業者の松下幸之助は日本の伝統を重んじていた。後世に日本の文化や技術を語り継ぎたいという思いが大きかったのではないか」と指摘する。

68年に有識者で構成する委員会を立ちあげ、何を入れるべきかについて意見を集めた。世界36カ国の著名人にアンケートを送り、一般からも募った。収納品は317件、2098点に及ぶ。超小型テレビやラジオのほか、植物の種子や本、靴、貨幣なども入れた。当時の生活や文化の全体像を把握できるようにした。

腐食に強い特殊なステンレスを素材とし、収納品には殺菌処理を施して劣化を抑えるようにした。埋設場所には大阪城公園(大阪市)を選んだ。地層が安定し、特別史跡だけに開発されにくいことなどが理由という。2つのカプセルが埋まっており、1つは地下9メートルにある。2000年に開封したところ「劣化は見られなかった」(川原氏)。再び埋め直し、今後は100年ごとに状況を確認する予定だ。

より深い地下15メートルに埋まっているカプセルは大阪万博から5000年後の6970年に開封する。社史などを担当する歴史文化コミュニケーション室の室長の名刺には「タイムカプセル担当」の文字が入る。はるか遠い未来にきちんとカプセルを掘り起こすこともパナソニックの課題となっている。(黒田弁慶)

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