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混戦のペナントレース 明暗を分けた選手運用
野球データアナリスト 岡田友輔

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2019/10/6 3:00
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2019年のペナントレースは両リーグとも最後まで目が離せなかった。混戦の明暗を分けた決め手は何だったのか。数字を基に振り返ってみたい。

パ・リーグは西武が逆転で連覇を飾った。主将の浅村栄斗、エースの菊池雄星という投打の主力が去り、厳しい戦いが予想されたが、後半戦の追い上げはすさまじかった。持ち駒を最大限に生かした起用法と、それに応えた選手が見事だった。

今年のチームもよく打った。18年の792得点には及ばなかったが、756得点はリーグ2位ロッテに100点以上の差をつけ、12球団で別次元の破壊力だった。目立った離脱がなかったレギュラー陣は満遍なく活躍したが、打線の核だった「3番・二塁」の浅村の穴を埋めたという点では森友哉と外崎修汰の奮闘に尽きる。

森は首位打者を獲得したほか、打撃3部門すべてでキャリアハイを記録した=共同

森は首位打者を獲得したほか、打撃3部門すべてでキャリアハイを記録した=共同

以前紹介した「WAR(Wins Above Replacement)」という指標を思い出してほしい。各選手が走攻守で生み出した「得点価値」をはじき出し、控えレベルの選手が出た場合に比べた貢献度を勝利数に換算したものだ。

森は打率3割2分9厘で首位打者を獲得したほか、23本塁打、105打点と打撃3部門すべてでキャリアハイの数字を残した。今年、森が出ることによって上積みされた価値は7.8勝。これはパ・リーグトップの数字で、昨季の3.6勝から大幅にアップした。

■特筆すべき捕手森の貢献

打撃面での貢献はもちろん、WARの上昇は捕手での出場機会が約1100イニングと昨年の666から大幅に伸びたのが大きい。レギュラーの役割は打ったり守ったりすることだけでなく、力の劣る控え選手を試合に出さないことでもある。森が出続けたことにより、西武は打力の劣る控え捕手をほとんど使わずに済んだ。捕手のような守りが重視されるポジションにあって、これは特筆すべき貢献だ。森は「打てる捕手」として一時代を築いた阿部慎之助(巨人)の後継者になりつつある。

主に二塁を守りながら、26本塁打、90打点をたたき出した外崎も見逃せない。今年のWARは6.7と森に次ぐリーグ2位。外野や三塁を守ることも多かった昨季の3.6勝から倍近い貢献度となった。複数の守備位置をこなせる「ユーティリティープレーヤー」は珍しくないが、打力、守備力ともこれほど高いレベルを兼ね備えた選手は過去の日本球界でも記憶にない。森と外崎のWARの上積みは合わせて7.3勝分。昨年の浅村のWAR(6.5)を埋めてあまりある活躍だった。

昨季に続いて防御率リーグワーストの投手陣を野手陣がカバーした西武と対照的だったのが、9月に逆転されたソフトバンクだ。西武を上回るリーグ最多の183本塁打を放ちながら、得点は同4位の582。リーグ1位の防御率を誇る投手陣を十分に援護できなかった。

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