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利下げで米経済は好転するのか 市場は疑心暗鬼

2019/10/4 11:16
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3日のニューヨーク株式市場は劇的な展開となった。

まず、9月の米サプライマネジメント協会(ISM)の非製造業景況感指数が、事前予測を大幅に下回り、52.6まで低下した。ISMの製造業景況感指数、ADP民間雇用統計と連日の経済指標の悪化で、ダウ工業株30種平均は下落が続いていた。またか、とばかりに、ダウ平均は300ドル超の急落で反応した。

しかし、ここで、市場の解釈が急転する。

ダウ平均の下げ幅が3日間合計で1000ドル超となったところで、金利先物市場の値動きから算出した、10月の利下げ確率が93%近くまで上昇したことがキッカケだ。

それまでは、「悪いニュースは悪いニュース」と素直に反応していたマーケットが、緩和期待から「悪いニュースは良いニュース」へ180度解釈を転換させたのだ。

あたかも、試合中にゴールポストの位置をいきなり変えられたごとき展開。

この急転換を主導したのは株の空売り投機筋だ。さすがに3日間でダウ平均が1000ドル超の下げとなると、売られ過ぎを懸念して、巻き戻しの出口を模索していた。自らの売り手じまいの口実となる都合良い解釈を選択したわけだ。

そして本日は、「主要経済統計ウイーク」のトリともいえる米雇用統計が発表される。ゼネラル・モーターズ(GM)のストライキの影響もあり芳しくない数字が予想される。さすれば、利下げ確率はさらに上昇する。それを受けて株価は上昇する。

これが、事前予測段階でのシナリオだ。

果たして都合よく相場が展開するかは、定かではない。極端に悪い数字が出れば、リスクオフになり株価は下げるかもしれない。

最大の疑問は、利下げで果たして経済が好転するのか、ということだ。

米中通商摩擦の懸念が晴れねば、視界は開けない。金利が急低下した市場環境で社債を含め、低コストの資金調達は増えているが、そのほとんどが借り換えだ。新たな設備投資意欲は萎えたままである。

金融政策の限界が意識されれば、利下げを素直には喜べない。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も、通商問題への金融政策対応は、未体験分野として持て余している。

6月、9月と2回にわたる「予防的利下げ」のワクチン効果は既に切れつつある。景気悪化の痛み止めとして10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では再度利下げせざるを得まい。もはや景気悪化が「発症」しつつあるので「予防的利下げ」ではなく「対症療法的」利下げとなりそうだ。しかし、保護主義という厄介な病巣にメスを入れねば、企業業績の改善を伴う本格的な株価上昇は見込めない。

頼みの財政政策も「ウクライナ・ゲート」の勃発、トランプ米大統領の弾劾を巡る政権と民主党の対立の先鋭化により、実現のハードルが高まってきた。

このような市場環境は、短期売買のヘッジファンドの草刈り場となる。恐怖指数と呼ばれる米国株の予想変動率を示すVIXも警戒水域とされる20を挟む水準まで切り上がってきた。昨年10~12月に乱高下した記憶も鮮明に残る。

中長期の投資家はポートフォリオのリスクを減らし、投機筋は一段とレバレッジ、すなわちリスク選好度を高める傾向が強まりそうだ。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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