手元資金で成長投資 後押し 政府、税制優遇など検討

2019/10/3 21:17
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未来投資会議であいさつする安倍首相(3日、首相官邸)

未来投資会議であいさつする安倍首相(3日、首相官邸)

政府の未来投資会議(議長・安倍晋三首相)は3日、企業の新分野への投資を政策で後押しする検討に着手した。企業が業績回復で増えた手元資金を、将来の成長につながる買収やスタートアップへの投資に振り向けやすいように予算や税制で支援する。240兆円にも上る企業の現預金を有効活用し、日本経済の成長力底上げにつなげるのが狙いだ。

「(企業内にたまった現預金を)いかに長期的視点に立った投資に回していくかが我が国の将来の命運を左右する」。首相は未来投資会議でこう述べ、担当閣僚に議論の加速を求めた。

内閣官房によると、日本企業が保有する現預金は2012年度から18年度までに27%増え、240兆円を超えた。特に上場企業は37%増え、増加が目立つ。同会議では大企業がこうした資金を活用し、将来の成長につながるM&A(合併・買収)や投資を加速させる仕組み作りを検討する。東南アジアなど新興国企業との連携も後押しする。

具体的には内部に多額の現預金を持つ大企業が有望な新技術を持つ新興企業を買収したり、大学発のベンチャーへ出資したりした場合の減税措置を検討する。同様の措置は自民党税制調査会も検討することを表明しており、年末に向けて減税対象となる投資の範囲など詳細を詰める。

トヨタ自動車は米国のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を通じてロボット技術開発会社などに積極的に出資している。ソニーも大和証券グループと組み、成長分野のベンチャー企業を対象とした投資ファンドを立ち上げた。ただ日本の大企業によるベンチャー買収件数は欧米より圧倒的に少なく、中国よりも低調となっている。

大企業によるベンチャー投資には既存事業とのシナジーを発揮したり早期にビジネス化したりといった効果が期待できる。内閣官房によると、米国ではCVCから投資された企業は、ベンチャーキャピタルに投資された企業に比べて投資後に特許件数が増える傾向が認められるという。

大企業とベンチャー企業が連携する際に留意すべき点を盛り込んだガイドラインも整備する。政府のヒアリングでは、ベンチャー側が求めても大企業が秘密保持契約を結ばず、聞いた内容をもとに自社開発してしまうなど悪質なケースが報告された。

ガイドラインでは、共同開発の成果となる知財の独占や長期間にわたる広範囲な協業を禁止するなど、ベンチャーが不利になることを回避できるような契約のあり方を示す。内閣官房は創造的な研究を支援する予算措置や、企業や大学などが研究目的で共同でつくる技術研究組合の設立を加速させる法改正なども検討課題に挙げている。

未来投資会議では年末までに新たな成長戦略に向けた中間報告をとりまとめ、来年夏までに新たな実行計画を閣議決定する。

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