100兆円予算、恒常化にくぎ刺せるか 財制審議論開始

2019/10/3 13:40
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麻生太郎財務相は財制審で「質の高い予算を作っていきたい」と語った(3日、財務省)

麻生太郎財務相は財制審で「質の高い予算を作っていきたい」と語った(3日、財務省)

令和初の予算編成作業が本格的に始まった。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は3日、2020年度予算案の改革のたたき台となる提言作りに着手。少子高齢化を背景に膨張する社会保障費を中心に削減を促す。20年度当初予算は19年度に続き100兆円を超える可能性が高い。「100兆円予算」が恒常的にならないよう、ばらまき防止へくぎを刺せるかどうかが試される。

「日本は人口減、少子高齢化に直面している。歳出改革をしっかり進めないといけない」。麻生太郎財務相は3日の財制審でこう述べた。財制審は今後、週1回のペースで会議を開く。社会保障をメインに改革案を話し合い、11月下旬~12月初旬をメドに提言を出す。

財務相が示した危機感とは裏腹に、20年度予算案は過去最高になりそうだ。8月末に各府省庁が財務省に提出した概算要求の総額は104兆9998億円。過去最高だった19年度(102兆7658億円)を上回った。財務省はここから査定で予算を絞り込む。概算要求に含まれない消費増税対策などを加えると、20年度当初予算が100兆円を超えるのは確実だ。財制審財政制度分科会の増田寛也会長代理(元総務相)は3日の審議会後、記者団に「財政健全化と社会保障の持続可能性を両立しないといけない」と強調した。

改革の目玉は社会保障分野だ。年金、医療、介護などを所管する厚生労働省の20年度予算の概算要求は約32兆6千億円と19年度の要求より2%増え、全体の3割を超える。

財制審と、政府が9月に新設した全世代型社会保障検討会議が連携し、負担と給付のバランスを大胆に見直すことが必要になる。湿布など軽症者向けの医薬品を保険の対象から外す。地域で高齢者を支える環境を整え、過剰に介護保険に頼る現状を改める。資産や所得に余裕がある高齢者にもっと負担してもらう。女性や高齢者、働く意欲のある無職の人の社会進出を促して社会保障の担い手をもっと増やす――。いずれも財制審が過去に提言したもので、待ったなしだ。

財政再建には歳出を削るだけでなく、歳入をどう増やすかという視点も欠かせない。財制審はこれまで、どちらかといえば歳出削減への提言に傾いていた。企業の生産性を高め、潜在成長率を引き上げて税収を伸ばす。規制緩和でイノベーションを発揮しやすい環境を整える。個別分野の歳出削減にとどまらず、税制改正なども絡めた歳入改革への提言も課題になる。

平成が始まった1989年から国の借金は右肩上がりに増え続けた。借金(公債残高)は約900兆円と平成の間に5倍超に膨らんだ。令和初の予算編成でも傾向は変わらない。財政再建の道がこれ以上崩れないよう、財制審と財務省には改革の必要性を訴える提言力と、予算編成に映す実行力が試されている。

(鈴木大祐)

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