命の拠点へ教訓つなぐ花 熊本地震遺族、新病院に

2019/10/3 9:39
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熊本地震で損壊した熊本市立熊本市民病院から転院を余儀なくされ、その後亡くなった宮崎花梨ちゃん(当時4)の母、さくらさん(40)=熊本県合志市=が、移転・開院した新病院敷地に花の苗を植えている。東日本大震災の遺族から贈られたフランス菊で「命の大切さと教訓を伝える拠点にしたい」との思いを込める。

熊本市立熊本市民病院の敷地にフランス菊の苗を植える宮崎さくらさん(手前左)ら(3日午前)=共同

3日には植栽式があり、関係者は災害に強い病院づくりを誓った。

先天性の心臓病だった花梨ちゃんは当時、集中治療室にいた。病院は地震前から老朽化が問題になっており、2度目の激震「本震」で天井や壁の一部が崩落。福岡市の病院に移されたが、5日後に息を引き取った。移動が負担となったとして、関連死に認定された。

「転院しなくて済めば助かったのでは」。さくらさんはぶつけどころのない怒りや悲しみを抱えて過ごす中、東日本大震災で幼稚園の送迎バスが津波に流され、娘の愛梨ちゃん(当時6)を失った宮城県石巻市の佐藤美香さん(44)と知り合った。

佐藤さんは震災の教訓を伝えようと、愛梨ちゃんが見つかった場所に咲いていたフランス菊を全国に広める活動をしていた。さくらさんが昨年7月、寄付をすると約2千粒の種が贈られた。

その頃、西日本豪雨を巡る報道で見た「生かされなかった教訓」との言葉に心が痛んだ。すぐにフランス菊の苗を新病院に植えてほしいと大西一史熊本市長に手紙で訴えた。自宅の花壇にまいた種は「本震」からちょうど3年の今年4月16日、白い一輪の花を咲かせた。

今月1日に開院した新病院は、免震ダンパーや井戸水を活用した給水設備を設置するなど災害対策機能を強化し、患者家族の滞在施設も整備した。「教訓を語り継ぎ、患者に寄り添う病院であってほしい」。今後も花の世話をしながら、近くで見守るつもりだ。

〔共同〕

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