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英のEU離脱新提案 ユンケル委員長「なお問題点」

【ロンドン=篠崎健太、ブリュッセル=竹内康雄】英政府は2日、欧州連合(EU)からの離脱条件に関する新提案を公表した。ユンケル欧州委員長は「前向きな進展があった」とする一方で「いくつか問題点が残っている」と述べ、提案内容を精査する方針を示した。新提案に対して英野党からは否定的な反応が相次いでおり、10月末の円滑な離脱につながるかは不透明だ。

英国のEU離脱問題は、英領北アイルランドとアイルランドの国境管理の方法で難航してきた。自由な往来を保つことでは一致してきたが、具体策が見つかっていない。ジョンソン首相は解決するまで英全体をEU関税同盟を残す「安全策(バックストップ)」を強く批判し、メイ前政権がEUとまとめた離脱案からの削除を求めてきた。

英政府は今回、北アイルランドにだけ農作物や工業製品の基準などでEUのルールを適用することを提案した。国境での税関検査を省くため電子的な通関手続きの仕組みも設けるとした一方、最長2022年までの移行期間後には英全体が関税同盟から抜けるとした。

ジョンソン氏は同日、ユンケル氏やアイルランドのバラッカー首相とそれぞれ電話協議した。ユンケル氏はアイルランド国境の安全策の管理や、税関ルールなどに問題点が残っているとの認識を示した。バラッカー氏は協議後の声明で「提案は安全策の目標を十分満たしていない」と指摘した。EUや他の加盟国と対応を協議する方針だ。

EUのバルニエ首席交渉官は記者団に「合意するには、まだ多くのことをやらなければならない」と述べた。提案内容がEU側にとって十分でないとの認識をにじませた。アイルランド島に物理的な国境を設けないことや、単一市場の保護といった原則を守ることは欠かせないと語った。英国とEUはブリュッセルで今後数日にわたり、提案をもとに集中協議する。

新提案について、英最大野党・労働党のコービン党首は「メイ前政権の離脱案より悪い。支持を得られないと思う」と批判した。野党からは北アイルランドの安定が損なわれる懸念など、否定的な声が相次いだ。

英議会下院で与党は過半数を割り込んでおり、仮に新たな離脱案がEUと合意できても承認を得られない可能性がある。ジョンソン氏は新提案が通らなければ合意なき離脱しかないと主張した。英・EU双方は17~18日のEU首脳会議に向けて協議を進めるが、今回の提案で事態が打開できるかは見通せない。

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