英首相、EU離脱で新提案 「拒否なら合意なき離脱」

英EU離脱
2019/10/3 0:40 (2019/10/3 6:36更新)
保存
共有
印刷
その他

英中部マンチェスターでの与党保守党2日、大会で演説するジョンソン首相=ゲッティ共同

英中部マンチェスターでの与党保守党2日、大会で演説するジョンソン首相=ゲッティ共同

【マンチェスター(英中部)=中島裕介】英政府は2日、10月末の欧州連合(EU)離脱に向けた離脱条件の新提案を正式にEUに示した。EU域外の国と自由貿易協定(FTA)を結べる体制を整えるため、早期に英全土がEUとの関税同盟から抜ける方針を示した。ジョンソン首相は同日の党大会の演説で、EUが新提案に応じない場合には、経済に混乱を及ぼす「合意なき離脱」も辞さない姿勢を強調した。

【関連記事】 英のEU離脱新提案 ユンケル委員長「なお問題点」

英・EUの離脱の条件やルールを示した現行の協定案では両者が円滑な離脱で合意できた場合、20年末まで激変緩和のための「移行期間」に入ることになっている。次のステップである英・EUの新通商協定など経済分野の交渉がまとまらなければ、この期間は22年まで延長できる。

今回の新提案ではまず「移行期間の終了時点で、EUとの関税同盟から離脱する」と明記した。メイ前政権とEUの協定案では英が関税同盟に残り続け、EU域外の国と独自にFTAが結べないままになる可能性があったがこれを修正した。

一方で農産品や工業製品などの基準やルールに関しては、北アイルランドだけEUルールに従うことを検討する。英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境付近での検査を省略できるようにし、円滑なモノの行き来を維持する。

北アイルランドがEUルールに従うかどうかは同地域が判断する。まず移行期間の終了時点で北アイルランドの自治政府や地方議会が、住民の意見も踏まえてEUルールに従うかを決める。その後も4年ごとにEUルールに従うか、同ルールから離脱するかを判断する。英国とルールが乖離(かいり)することに反発する住民や政治勢力の意見を聞く機会を設ける狙いだ。

英・EUの離脱協議では離脱後のアイルランドとの「国境」の扱いが最大の問題となってきた。英・EUは過去の紛争の再発を防ぐため、物理的な国境を設けずに通関手続きなどの国境管理をする方針だが、具体策がまだ見つかっていない。

メイ前政権はEUと合意した離脱協定案で、妙案が出るまでは英がEUの関税同盟に事実上とどまる「安全策」を受け入れた。だが関税同盟に残ると、EU域外と独自にFTAなどを結べないため、ジョンソン氏は安全策の削除を求めていた。

ただ新提案でも関税のルールは南北アイルランドで分離するため、何らかの関税の管理は必要になる。EUが新提案を了承するかどうかは見通せない。ジョンソン氏は演説で「新提案が実現しなければ合意なき離脱だ」と述べ、英国としてこれが最後の提案だとの考えをにじませた。英メディアの間では、EUが同意しにくい提案をあえてすることで、EUに拒否させ、「合意なき離脱」を正当化するのが狙いだとの見方も出ている。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]