子どもの居場所、支援続々 埼玉県内企業

2019/10/2 20:25
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埼玉県内で子どもの貧困問題の解消を目指す「子どもの居場所づくり」への支援が広がっている。ボランティア団体だけでなく、葬祭場や銀行が施設の空きスペースを貸し出したり、寄付型商品を開発したりするなど企業の参加が目立つ。社会貢献に加え、地域における認知度や価値の向上を図り、ビジネスに生かす狙いがある。

埼玉りそな銀行はセミナールームを子どもの居場所として活用している(浦和美園出張所、さいたま市)

埼玉県富士見市の葬祭場「鶴瀬駅前メモリードホール」はロビーなどのスペースで、子ども食堂を始める。葬祭施設では火葬場が休業する友引の前日は施設が空いていることが多い。そうした日に空きスペースを活用し、子どもの居場所にしたい考えだ。10月15日に開く第1回の子ども食堂では、音楽の生演奏や楽器体験も企画する。

施設の貸し出しは社会貢献だけでなく、地域とのつながりを増やす狙いもある。同葬祭場は2018年12月に開業した。「当初は抵抗がある人が多く、地元住民からの反応は良くなかった」(メモリードの平山実副部長)が、5月に駐車場でマルシェを開いたところ500人を超える人が来場し、手応えを感じたという。

平山副部長は「子ども食堂では季節に合わせた企画も考え、地元から愛される施設にしたい」と話す。

埼玉りそな銀行浦和美園出張所(さいたま市)のセミナールームでは月2回、ボランティア団体が子ども向け工作教室を開いている。女性社員の声を経営に反映する「さくらそうプロジェクト」の提案がきっかけで、子どもの居場所づくりが実現。「(店舗を)コミュニティー拠点とし、金融をもっと身近なものにしていきたい」(橋本景子SDGs推進室長)考えだ。

寄付型商品の開発で支援に参加するのはグルメアプリ「エシカルミン」を運営するユニコム(埼玉県所沢市)。アプリの利用者は提携する飲食店で、ギフトカードなどプレゼント応募券をもらえる。アプリで応募券を読み込むと、1枚あたり1円を子ども食堂に寄付できる仕組みだ。

国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を追い風として、市場や消費者から選ばれるには社会貢献とビジネスの両立が不可欠になっている。

食事提供だけでなく、交流拠点としての役割を持つ子ども食堂が目指す地域は、SDGsの理念「誰一人取り残さない世界の実現」にも重なり、注目されている。

■県、目標800カ所

厚生労働省によると、子どもの貧困率は13.9%。7人に1人が貧困状態にある。「相対的貧困」と呼ばれる子どもの貧困は、給食以外にきちんとした食事を食べていない、家に学習環境が整っていないなど、外見からはわかりにくい。埼玉県は対策として、子ども食堂や無料塾といった「子どもの居場所」づくりを推進している。

ただ、支援のかかわり方に悩む企業は多い。埼玉県は18年、子どもの貧困解消に向けて個人や団体、企業が参加できる「こども応援ネットワーク埼玉」を立ち上げた。物資や場所の提供、学習支援など、会員それぞれが担える活動を選んでもらう。SNSなどを活用して、場所の提供者や子ども食堂などの運営者を募り、マッチングしている。

19年度からは、県民や企業から寄付を募る「こども食堂応援基金」の創設や運営ノウハウの支援も開始。子ども食堂や学習支援などの経験がある約40の個人・団体をアドバイザーとして任命し、希望者に無料で派遣している。実施予定地への訪問支援、現場実習を通じ立ち上げを後押しする。

現在、子どもの居場所は県内に約230カ所(2月時点)。1年半で3倍に増えた。将来的には子どもの居場所を小学校区と同等の約800カ所まで広げることを目指している。

埼玉県福祉部の内田貴之企画幹は「支援の輪を広げるには、ぞれぞれの得意分野を組み合わせながら誰もが自由に取り組めるようにする必要がある」と指摘する。

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