医療器具のガイドワイヤ、タイで開発 朝日インテック

アジアBiz
2019/10/6 18:00
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朝日インテックはカテーテル(医療用細管)の挿入を補助する「ガイドワイヤ」で高いシェアを持ち、国内市場の8割近く、中国で6割を占める。1992年に医療用具製造業の許可を取得して四半世紀余り。手術の負担を抑えられることから世界中に広がり、売上高の7割を海外で稼ぐ。次の成長の起点になるのは研究者の技術力が上がってきた東南アジアだ。

ステンレスでできたガイドワイヤ。この外側をなぞるようにカテーテルが伸びていく

ステンレスでできたガイドワイヤ。この外側をなぞるようにカテーテルが伸びていく

ガイドワイヤは細い針金のような装置だ。血管に挿入することで治療用のカテーテルの通り道を確保する役割を持つ。

カテーテルは心臓や脳の疾患で使う細い管状の器具だ。太ももや手首の血管に挿入し、血流の滞った患部を治療する。開腹や開胸を伴う手術をすることなく、患者の負担が抑えられる。

ステンレスの伸線技術とミクロメートル単位の成形技術、薄い樹脂のコーティング技術に強みを持つ。産業用の極細ステンレスロープの製造で培ったものだ。手元の動きがそのまま線の先まで伝わるトルク技術も使い、医師の繊細な施術を助けている。

ガイドワイヤのシェアは国内77%、欧州・中近東47%、中国59%と高い。さらに、東南アジアで研究開発や生産の機能を強化して世界で販売していく。

日本以外では初めて本格的な研究開発拠点をタイに開いたのは2016年。人手がかかるため手が回りにくかった販売済み製品のサイズ変更を担う。

これまで生産は人件費の低い東南アジアで進める一方、研究開発は日本に集中させてきた。医師がより使いやすいサイズにするためには「設計や検証に新規開発と同じくらいの人手が必要」(担当者)だ。「アジアの工学系の技術者のレベルは非常に上がっている」(宮田昌彦社長)うえ、人材を採用しやすいこともあり、新たにタイで技術者を雇って開発体制を整備している。今期中に現地で開発した製品を投入する。

生産面の強化では、タイ工場で既存の建屋を新たに活用、年内にも稼働を始める。クリーンルームなどを併設し、人力で作業している工程を機械化する。ベトナム、フィリピンでも増産体制を整える方針。

東南アジアで改良した製品は輸出するが、販売ルートが十分だとは考えていない。このため19年4月にフランス・パリに支店を開いたほか、米国では代理店に委託していた販売を現地子会社を通じて病院に直販する体制に切り替えるなど世界中に目をこらす。

23年6月期を最終年度とする経営計画では連結売上高を19年6月期と比べて4割増の800億円、営業利益を3割増の200億円に引き上げる目標を掲げる。米国などでシェアを上げるとともに新しい地域も開拓し成長に弾みをつける。

会社概要 1976年、産業機器部品を製造販売する朝日ミニロープ販売として設立された。92年に国から医療器具製造業の許可を取得。本社は愛知県瀬戸市に置く。2019年6月期の連結売上高は572億円、営業利益は151億円。

(名古屋支社 植田寛之)

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