ハンセン病家族、政府が幅広く救済へ 補償額は難航も

2019/10/2 19:30
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 加藤厚生労働相(左から2人目)はハンセン病元患者家族訴訟の原告・弁護団と面会し、謝罪した(2日午後、厚生労働省)=共同

加藤厚生労働相(左から2人目)はハンセン病元患者家族訴訟の原告・弁護団と面会し、謝罪した(2日午後、厚生労働省)=共同

国の敗訴が確定したハンセン病家族訴訟で、加藤勝信厚生労働相は2日、原告・弁護団と面会し、「深く反省し、おわび申し上げる。一日も早く補償を実現する。様々な差別の解消に向けてもしっかりと取り組んでいく」と謝罪した。政府は判決で賠償が確定した家族の範囲を超えて幅広く救済する方針。だが補償額を巡る原告らとの議論は難航しそうだ。

政府は4日召集の臨時国会で、家族への補償と差別解消を盛り込んだ法案の成立を目指す。

原告団と政府は7月から実務者協議を続けている。原告団は2日、厚生労働省、法務省、文部科学省との協議に参加。元患者の家族への補償や差別解消に向けた議論が初めて公開された。

原告団は2日の協議で、差別解消を目的とした授業でかえっていじめが悪化した元患者の子供や、母親の病歴を明かして離婚に追い込まれた30代の男性について紹介。

原告団の黄光男(ファン・グァンナム)副団長(64)は「多くの原告が迫害を受け、家族関係をずたずたにされた。差別を解消し、家族関係を回復してほしい」と訴えた。弁護団の徳田靖之共同代表は「差別は過去の出来事ではなく、今も家族の生活をゆがめている」と指摘した。

政府が控訴せず7月に確定した熊本地裁判決では、2002年以降の国の賠償責任を否定した。政府は01年に元患者の隔離政策を違憲とする判決が確定した後、啓発活動を進めたためだ。

判決では家族の中でも元患者のおい、めい、孫のほか、1972年以前の米国統治下の沖縄県で被害を受けた原告の賠償を減額した。原告団は線引きをせずに救済をするよう求めている。

政府は「判決以上の救済範囲を設定する」(厚労省幹部)方針。家族の範囲については元患者の親子、配偶者、きょうだいだけでなく、同居していたことを条件に、おいやめい、孫も親子らと同様に救済する方向で最終調整している。おおむね原告団の要望に沿った案を検討しているという。

だが補償額は政府と原告団の溝はまだ深い。

原告団は熊本地裁が命じた賠償額である1人当たり30万~130万円(弁護士費用を除く)を最低限の基準として設定。さらにエイズ患者や在日朝鮮人への差別を巡る別の民事裁判の賠償額を参照にして、増額も検討するよう求めている。

政府側は「一般の国民にも納得してもらえるような具体的な補償額の設定が難しい」(別の厚労省幹部)としている。今後、非公開の協議で補償額などの議論を続ける。

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