線虫でがん検診、20年の実用化へ運用試験 福岡県で
体長1ミリメートルほどの「線虫」と呼ばれる微生物を使って、1滴の尿からがんを発見する――。そんな異色の技術を開発したバイオスタートアップ企業のHIROTSUバイオサイエンス(ヒロツバイオ、東京・港)は福岡県久留米市などと連携し、2020年1月の実用化に向け最終的な運用試験を始める。

12月に久留米市と同県小郡市の職員計120人ほどから尿を採取し、試験をする。広津崇亮社長は「自治体と連携することで、市民のがん検診への関心が高まれば」と期待する。

ヒロツバイオは犬より優れた嗅覚を持つ線虫ががん患者の尿に集まる特徴を生かし、がんの検査手法を開発した。これまでに実施した臨床研究では8割以上の感度があり、1回あたりの費用も数千円程度に抑えることができるという。

国内のがん検診率は3割程度と諸外国と比べて低く、低コストで手軽な検査が検診率向上に寄与すると期待されている。初年度は25万人分の検査が可能で、既に約10万人分の検査が予定されている。