トランプ氏、豪でも新疑惑 ロシア疑惑捜査巡り

2019/10/1 19:22
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トランプ米大統領(右)とモリソン豪首相(左)(9月、ワシントン)=AP

トランプ米大統領(右)とモリソン豪首相(左)(9月、ワシントン)=AP

【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領が2020年大統領選で自らに有利になるよう他国に協力を働きかけた可能性が、ウクライナに続いてオーストラリアでも浮上した。大統領の職権を乱用したとしてトランプ氏への攻勢を強める野党・民主党を勢いづかせるのは確実だ。広がる疑惑が共和党支持層からの不信を買えば、トランプ氏弾劾の行方にも影響を与えかねない。

複数の米メディアによると、トランプ氏は最近のモリソン豪首相との電話協議で、16年の米大統領選にロシアが介入した疑惑の捜査過程に問題がなかったかを検証する米政府の調査へ協力を求めたという。電話は、このロシア疑惑捜査の検証作業を担うバー司法長官の依頼によるものだった。

豪政府はロシア疑惑の発端となる情報を、米連邦捜査局(FBI)にもたらしたとされる。もし情報提供の中身が不適切で、FBIがトランプ氏を追い落とすために捜査を推進したとトランプ氏が主張できれば、疑惑捜査の信頼をおとしめて民主に打撃を与えられる。

「豪政府は調査されている事実解明の取り組みをいつも支援してきた。モリソン首相はトランプ氏との会話でいま一度、支援する用意があると確認した」。豪政府報道官は1日公表した声明で、トランプ氏から協力要請があったことを認めた。

■隠蔽工作を想起

トランプ氏の具体的な要請内容は明らかではない。ただ、米豪首脳の電話協議の記録は、ごく少数しか閲覧できない状態にあるという。これはトランプ氏がバイデン前副大統領の息子の調査をウクライナのゼレンスキー大統領に促した電話協議の記録と同じ扱いだ。異例の措置とされ、米政権による「隠蔽工作」を想起させる。

ウクライナの事例では20年の米大統領選で民主の有力候補の一人であるバイデン氏への打撃を狙ったスキャンダル調査への協力要請が疑惑の中核となっている。豪州と共通するのは、いずれもトランプ氏が最終的に自らの再選に有利になるように、大統領の専権事項の外交を政治利用しようとした疑いがある点だ。

トランプ氏と外国首脳とのやり取りには危うさがつきまとってきた。ロシアのプーチン大統領との間では、ロシアによる米大統領選への介入を問題視しないかのような認識を示したとされる。サウジアラビアのムハンマド皇太子とは、武器輸出など経済やイラン封じ込めでの共闘を重視し、記者殺害への同国政府当局の関与に目をつむった可能性が取り沙汰される。

もっとも複数の米司法省高官は、ロシア疑惑捜査で豪州のような他国に協力を求めるのは適切だとの認識を示している。疑惑の立証では、トランプ氏の要請に明確な「再選目的」があったことを浮き彫りにできるかがカギを握る。

■民主には新材料

米豪の電話協議を巡る疑惑は、民主に新たな追及材料を提供した。民主は9月30日、今回の弾劾調査の引き金となったウクライナ疑惑を巡ってトランプ氏の顧問弁護士ジュリアーニ元ニューヨーク市長に召喚状を出した。2日から国務省高官を手始めに議会証言を開始し、追及を本格化する。

米CBSテレビの世論調査によると、ウクライナ疑惑によってトランプ氏は弾劾に値するかの質問に対して共和支持層の「賛成」は16%にとどまり、計84%が「反対」(70%)または「判断は時期尚早」(14%)との意見だった。

共和の上院トップ、マコネル院内総務は9月30日、民主が過半を占める下院がトランプ氏を弾劾訴追した場合は上院でも弾劾裁判を進めざるを得ないとの認識を米メディアに示した。しかしマコネル氏は手続き論を説明しただけで、同氏がトランプ氏と距離を置いたわけではない。

共和支持層のトランプ離れは進んでおらず、現時点で共和議員も目立った離反の動きはない。ただ、広がりと深まりを示す疑惑が共和支持層に変化をもたらせば、トランプ氏と共和議員の結束にヒビが入る恐れもある。

トランプ氏はロシア疑惑捜査の検証で協力を求める相手国として、かねて豪州に加えて英国、ウクライナの名を挙げていた。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は30日、バー氏が先週イタリアを訪れて同国政府に疑惑捜査への支援を求めたと伝えた。今後、ウクライナや豪州と類似の疑惑が浮上する可能性もある。

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