金融シンポ「逆風下の再起動」店舗統廃合など改革促進

金融最前線
2019/10/1 19:30
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討論する(左から)三毛、高島、坂井、森田、中田の各氏(1日、東京都千代田区)

討論する(左から)三毛、高島、坂井、森田、中田の各氏(1日、東京都千代田区)

金融の役割を探る金融ニッポン・トップシンポジウム(主催・日本経済新聞社)が1日、「逆風下の再起動」をテーマに東京・大手町の日経ホールで開かれた。マイナス金利政策や米中の貿易戦争などで金融機関を取り巻く環境は厳しさを増している。3メガバンクと2大証券のトップは、デジタル化への対応や店舗の統廃合などの改革を急ぐ考えを示した。

■デジタルへの対応カギ

新興IT企業の参入や金融取引のデジタル化で、銀行や証券会社は個人向けの営業戦略や店舗網の見直しを迫られている。親会社が対話アプリ大手LINE(ライン)と合弁の証券会社を開業した野村証券の森田敏夫社長は「50歳以上が顧客の7割を占める野村と、50歳未満が7割のLINEはよい連携相手だ」とし、若年層開拓の起点にしたいと意気込んだ。

講演する野村証券の森田社長(1日、東京・大手町)

講演する野村証券の森田社長(1日、東京・大手町)

大和証券グループ本社の中田誠司社長は「来店者が激減するなか、既存店舗の統合を進め、より小回りのきく営業所を2~3年で30カ所程度増やす」とした。デジタルと対面営業を組み合わせて顧客との接点を増やす。

講演する大和証券グループ本社の中田社長(1日、東京・大手町)

講演する大和証券グループ本社の中田社長(1日、東京・大手町)

みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長は、デジタル技術を使った店舗業務の効率化を説明。来年度からタブレット端末に入力したデータが基幹システムに直結するため、帳票の入力などが不要になる。「店舗人員の過半数は事務で、こうした行員をコンサルにシフトする」とした。

講演するみずほフィナンシャルグループの坂井社長(1日、東京・大手町)

講演するみずほフィナンシャルグループの坂井社長(1日、東京・大手町)

三菱UFJフィナンシャル・グループの三毛兼承社長はデジタル関連を含む新事業創出には柔軟な働き方が不可欠であることを強調した。「社員が一定期間休職し、起業や留学でキャリア形成した後で復職を認める新たな人事制度を今年度後半に設ける」と述べた。

講演する三菱UFJフィナンシャル・グループの三毛社長(1日、東京・大手町)

講演する三菱UFJフィナンシャル・グループの三毛社長(1日、東京・大手町)

三井住友銀行の高島誠頭取は膨大なデータの分析を通じ、顧客の課題に処方箋を示す提案力の向上と銀行の収益に結びつける重要性を強調した。「伝統的な銀行ビジネスにとらわれず、ビジネスモデルを柔軟に進化させていく」と語った。

講演する三井住友銀行の高島頭取(1日、東京・大手町)

講演する三井住友銀行の高島頭取(1日、東京・大手町)

リブラに期待と警戒

米フェイスブック(FB)が6月に打ち出したデジタル通貨「リブラ」をめぐる議論では期待と警戒感が交錯した。大和の中田氏は各国の通貨制度を脅かす可能性があるとし、「(発行と管理を担う)リブラ協会は既存の金融インフラとどう両立するか考えてほしい」と注文をつけた。

三井住友銀の高島氏はマネーロンダリング(資金洗浄)対策や利用者の保護策など課題を挙げながら「よく考えられた制度で、次世代の通貨を考えようという前向きな機運が出ている」と評価した。

討論する(左から)三毛、高島、坂井、森田、中田の各氏(1日、東京都千代田区)

討論する(左から)三毛、高島、坂井、森田、中田の各氏(1日、東京都千代田区)

■金融緩和の副作用に懸念

変調する世界景気や金融緩和の副作用を懸念する声が出た。三菱UFJの三毛氏は米中貿易戦争の他にも経済に影響を与えるリスクに注意が必要だと強調した。三毛氏は「欧米の当局はサイバーセキュリティーを気にかけている。プラットフォーマーなどへの依存が拡大しており、どう管理するか考える必要がある」と指摘した。

みずほの坂井氏は金融政策の副作用が効果を上回る水準(リバーサルレート)に触れ「日本では副作用がかなりたまっている」と指摘した。米中の企業部門の債務がリーマン・ショック時よりも膨らんでいることについて「過剰債務の調整が金融緩和で先送りされ、米欧中銀のさらなる緩和で拡大しかねない」と話した。

野村の森田氏も「世界的な金融緩和の波でマイナス利回りの債券が約1600兆円まで積み上がり金利低下が加速している」と懸念を示した。

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