今日も走ろう(鏑木毅)

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海外で街ラン、見知らぬ風景巡る 思い出も充実

2019/10/3 3:00
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プロトレイルランナーとして世界中のレースに出場するため、訪れた世界各地の街を気ままに走ることも多い。今まで40カ国・地域以上の街を駆けてきただろうか。

昨今は海外のマラソンツアーなどが多く企画されている。ただ普段通りの街並みを走る「街ラン」にはレースと一味違う楽しみがある。

今夏訪れたザルツブルクの街路を走る

今夏訪れたザルツブルクの街路を走る

それぞれの都市には必ずと言っていいほど、東京・代々木公園のような地元のランナーが自由に楽しめるランニングにもってこいの場所があるものだ。また街ランではバスや鉄道ではうかがい知れない人々の生活や息づかいが感じられるし、歩きだけではたどり着けない広範なエリアを楽しめる。景色の移り変わりや、街の規模を体感し特徴や文化を深く知ることもできる。

2つほど特に印象に残った街を紹介したい。

1つはイタリアのベネチアだ。運河がめぐる世界随一の観光都市だが、自動車の通行もなく快適にランニングが楽しめる。運河を越える橋の上り下りはまるで街中がクロスカントリーのコースのようだ。街路が複雑に入りくんでいるため、あらかじめ決めたルートをたどるのが極めて難しいけれど、さほど大きくはなく治安が良い街なので、迷うこと自体を楽しめる。

ただ道幅が狭く、観光客が多いので、人がまだ多く出歩いていない早朝をおすすめしたい。欧州の街は総じて歩車分離がしっかりされている上、歩行者優先の意識が高く、比較的安全に走ることができる。ただ自転車優先道路も多々あり、そこは注意が必要だ。

もう1つのお薦めは香港だ。都市部からすぐにアクセスできる距離に森に包まれた自然公園が多数あり、アップダウンはあるものの、走っていると時折現れる高層ビルが立ち並ぶ摩天楼の眺望はこの街ならではのものだろう。

海外での街ランの注意点を挙げておきたい。信号などの横断できる時間が短かったり、また国によっては交通法規を守らない車がいて車両のスピードが速かったりで、ランニングの出だしはその街の流れをつかむように様子を見ながらゆっくりと走り出すのがいい。日本と異なり公衆トイレが都市部ならどこにでもあるというわけではなく、有料の場合も多いので、小銭は常時持参しておきたい。

私はといえば、ざっくりとルートを決めて走り出しておき、実際には面白そうな路地や展望の良さそうな高台など、その場の雰囲気で気が引かれる方へと気ままに走る。スマホのGPS機能を使えばたとえ道に迷っても、現在地を確認できるので安心だ。GPSデータを取っておくと、あとになってどこをどのようにたどったのか振り返ることができる。まるで思い出のアルバムをめくるように。

仕事や観光の合間にぜひとも海外での街ランを楽しんでほしい。単に楽しいというだけでなく、見知らぬ街の風景に出合うことで発想力、人生観さえも影響を受けることがあるほどだ。あらかじめ決められた観光名所をただ訪れるのとは違った旅の魅力に気付かされることだろう。

(プロトレイルランナー)

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