韓国の消費者物価、初のマイナス 9月 デフレ懸念広がる

2019/10/1 15:59
保存
共有
印刷
その他

【ソウル=鈴木壮太郎】韓国統計庁が1日発表した9月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比で0.4%下落した。マイナスは1965年の統計開始以来、初めて。韓国政府は農産物価格の下落など一時的な要因と強調している。ただ、同月の輸出が落ち込むなど経済が低迷するなかで専門家からはデフレを懸念する声も出ており、韓国銀行(中央銀行)の今後の利下げを巡る判断にも影響を及ぼす可能性がある。

韓国では消費の低迷でデフレを懸念する声も出ている(ソウルのスーパー)=ロイター

9月のCPIを支出目的別にみると、下落率が最も大きかったのが「食料品及び酒を除く飲料」で、同4.1%下落した。ガソリン代などの「交通」は1.6%のマイナスとなった。テレビやコンピューター販売を含む「娯楽・文化」は1.3%の下落。「教育」も0.8%下落した。

CPI上昇率は年初に1%を切り、8月はほぼ横ばいだった。9月は米ブルームバーグ通信が集計した事前のエコノミスト予想(マイナス0.3%)を超える下落幅となった。

韓国の景気は減速している。米中貿易戦争の影響や半導体市況の低迷で、国内総生産(GDP)の4割を占める輸出が低迷。産業通商資源省が1日発表した貿易統計によると、9月の輸出は前年同月比12%減の約447億ドル(約4兆8千億円)と、10カ月連続のマイナスになった。中国への輸出額が21.8%減と大きく落ち込んだ。

韓国銀行は2019年の実質経済成長率の見通しについて下方修正を繰り返し、現在は2.2%と見込む。ただ、民間シンクタンクからは2%を下回るとの予測も出はじめた。景気が振るわず、物価が下落に転じたことで、デフレ懸念が広がりつつある。

政府と韓国銀行は「デフレとはいえない」と主張する。デフレに陥っていると認めれば、文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済運営への批判が高まりかねないという事情も背景にある。

政府は食料品の下落は昨年、猛暑の影響で農産物の価格が急騰したことの反動だと説明。昨年9月に一バレル77ドルまで上昇した原油価格が今年は同60ドル水準まで下がったことも物価を押し下げたと指摘し、一時的な物価下落にすぎないと強調する。

韓国銀行は「昨夏の農畜産物と石油製品の高騰という一時要因の影響は10月まで続くが、11月以降になくなる」と指摘。「CPI上昇率は来年以降、1%台に高まる」と展望する。

ただ、専門家の懸念は拭えない。現代経済研究院の洪俊杓(ホン・ジュンピョ)研究委員は「需要の側面からの下方圧力も働き、物価上昇率が非常に低い状況が続いている」と指摘。「韓国は景気低迷によるデフレに見舞われる恐れがある」と警鐘を鳴らす。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]