重力波望遠鏡「かぐら」公開 超新星爆発観測目指す
宇宙から飛来する重力波を観測する望遠鏡「かぐら」が岐阜県飛騨市の地下に完成し、東大宇宙線研究所は30日、施設内部を報道陣に公開した。年内にも稼働を開始。重力波を初検出し、2017年のノーベル物理学賞に輝いた米国の望遠鏡LIGO(ライゴ)などとともに世界の重力波観測網に加わり、宇宙誕生の謎に迫る。
重力波望遠鏡としては世界で4基目と後発だが、性能を生かせば欧米の望遠鏡がまだ成功していない超新星爆発の初観測を狙うこともできる。東大の大橋正健教授は「ぜひ挑戦したい」と快挙達成に照準を合わせた。
重力波とは、物体が動いたときに生じた空間のゆがみが、さざ波のように伝わる現象。重力波望遠鏡同士や光を見る従来型の望遠鏡が協力すれば、より多面的に宇宙の構造を解明できると期待される。
夏でもひんやりとする地下にあけたL字形のトンネル。それぞれ長さ3キロの「両腕」方向に真空のパイプが延びる。L字の角にはパイプの中にレーザーを発射する装置を設置。両腕の先端部にはレーザーを反射させるサファイアの鏡が設置されている。
実験室から鏡に向けて同時にレーザーを放ち、反射して戻ってくる光を観測する。重力波で空間がゆがんでいれば、光が戻ってくる時間に差が生じて分かるという仕組みだ。
トンネルや真空パイプなどは15年に完成したが、東大は本格観測に必要なサファイア鏡の設置を進めていた。
〔共同〕