米フォーエバー21破綻、ファストファッション試練

2019/9/30 17:34
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米カジュアル衣料のフォーエバー21は29日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻した。米アマゾン・ドット・コムなどネット通販におされ、出店先の大型商業施設の集客力が落ち、経営が悪化した。売り切りで流行を意識した新商品を投入し続けることで成長した「ファストファッション」だが、環境への配慮や消費の志向など若者の意識の変化を読み切れなかった。

フォーエバー21は29日、米連邦破産法11条の適用を申請した(米ワシントン州シアトルの店舗)

フォーエバー21は29日、米連邦破産法11条の適用を申請した(米ワシントン州シアトルの店舗)

「将来性を確保するために重要かつ必要なステップだった」。フォーエバー21は同日の声明でこう強調した。日本やカナダから撤退し、欧州の大半の店舗を閉じる。米国内では200店近くを閉鎖。グローバルの店舗数は現在の約800店からほぼ半減する見通しだ。

今後は規模を縮小して事業を続ける。当面の資金として、米金融大手JPモルガン・チェースを仲介して2億7500万ドル(約300億円)を調達。米ファンドからも新たに7500万ドルの融資を受けた。

1984年創業のフォーエバー21は、売り切ったら追加発注をせずに新しい商品を仕入れる「ファストファッション」と呼ばれるビジネスモデルで成長してきた。本社は米カリフォルニア州ロサンゼルス。売上高は非公開だが、18年時点で30億ドル程度とみられる。

2000年代以降、全米で郊外の商業施設を中心に出店を加速した。流行を意識したデザインの衣料品を低価格で売り、10~20代から支持を得た。しかし、近年はネット通販の台頭で若者が商業施設に足を運ばなくなり、売り上げが伸び悩んだ。高額な賃料も資金繰りの悪化に拍車をかけた。

米小売業に詳しいペンシルベニア大学ウォートン校のバーバラ・カーン教授は「ネットでも買える安価な衣料品を扱う小売店は厳しい」と話す。米調査会社イーマーケッターによると、米国内のネット通販売上高は19年に5869億ドルと前年から14%増加する。

10~30代の間で「モノを購入するのではなくシェアやレンタルで済ます人が増えている」(カーン氏)のも一因のようだ。使い捨て感覚で服を購入することへの抵抗感が生まれ、売り切りで短い間に買い替えを促すファストファッションの強みが失われていった。

フォーエバー21は日本では国内のアパレル企業と組んで2000年に進出したが、1年あまりで撤退した。09年に再進出し、ピーク時に国内で22店舗を展開した。ただ近年は17年10月に原宿店を閉店するなど事業を縮小。9月25日には日本国内の全14店舗を10月末で閉店すると発表した。「売り上げ不振で数年赤字を計上していた」(同社の日本法人)という。

ファストファッションを巡る状況は厳しい。「ZARA(ザラ)」などを手がける衣料品の世界大手、スペインのインディテックスはネット通販への取り組みが遅れ、株価はこの1年でほぼ横ばい。経営トップを交代させるなどしてデジタル改革を急いでいる。(ニューヨーク=高橋そら、勝野杏美)

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