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「試合を動かせる楽しさ」生涯捕手貫いた巨人・阿部
編集委員 篠山正幸

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2019/10/1 3:00
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自身が「サプライズ的に決断したところがあった」と明かすくらいだから、巨人・阿部慎之助の現役引退には、何かの弾みのような要素がからんでいたのかもしれない。もちろん、引退は選手にとって最大の決断。降って湧いたような決断といっても、そこには極めてのっぴきならないものがあったと見ざるを得ない。

「キャッチャーで終われたら」

まだまだできるのに……。そんな感情を抱かせながら辞める選手は少なくないが、阿部は近ごろではもっとも惜しまれて辞める選手の代表格、ということになるのではないか。

9月25日、記者会見で現役引退を表明した阿部=共同

9月25日、記者会見で現役引退を表明した阿部=共同

本拠地、東京ドームのファンへの引退報告の場となった9月27日のDeNA戦での今季7号(通算406号)や、優勝決定シリーズとなった横浜スタジアムの同カードでみせた、岡本和真も飛ばせないような勢いのファウルなどをみても、今季限りで辞める人のスイングとは思えなかった。

一時代を築いた選手は近年、引退を早めに予告するようになった。あらかじめ引退の意思を公表することで、最後の勇姿をファンの目に焼き付けてもらいたい、という選手の要望もあるようだ。

球団としても、スター選手に関しては関連グッズの売り上げも見込めるために、一定の告知期間があった方が好都合だろう。

だが、阿部の場合はそうした要素を切り離し、一個人として、このままグラウンドに立ち続けるべきか否か、という観点でのみ、意思を決定した形跡がうかがえる。それが唐突な、いささか潔すぎるともいえる引き際をもたらしたようにもみえる。

近年は一塁や代打での起用が多かった。9月25日の引退会見では「ここ数年は代打で(起用され)、その声援が身震いするくらいで、自分でも感動させてもらった。それがあってこそ、よーしって気持ちにもなれたし、感謝している」と語った。代打に生きがいを感じていたようだ。

では、何が引退決断の契機になったのか、と考えていくと、捕手への思いに行き当たる。

今季、原辰徳監督の復帰に際し、阿部は捕手復帰を願い出た。

その思いを昨年11月の契約更改の席で、次のように明かしている。

「(2018年シーズンが)広島とのCS(クライマックス・シリーズ)で終わって、たくさんの引退する選手を間近に見てきて、自分にもいつか(引退のときが)くる、と思った。そう考えて、このまま終わったら悔いが残るんじゃないかと。(捕手は)4年ぶりなんで、正直、どうなるのかなと、不安いっぱいだが……。自分のわがままになるが、キャッチャーで終われたら、という思いがある」

そこまで捕手に執着するわけについて「試合をすべて動かせるという楽しさがある。そこをどうするかが、一番難しいんだけれど、そういうことができるっていう……。ファーストだと、それがなかなかできないし、やっぱりそういう魅力が(捕手には)ある」とも語ったのだった。

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