オーストリア下院選、中道右派が大勝 極右は失速

2019/9/30 4:36
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首相返り咲きをほぼ確実にした国民党のクルツ氏=AP

首相返り咲きをほぼ確実にした国民党のクルツ氏=AP

【ウィーン=石川潤】オーストリアで29日投開票された下院選挙で、クルツ元首相が率いる中道右派の国民党が大勝した。クルツ元首相は2019年5月に議会の不信任を受けて退任に追い込まれたが、首相への返り咲きをほぼ確実にした。5月まで国民党と連立政権を組んでいた極右の自由党がスキャンダルの影響で失速する一方、気候変動への関心の高まりで緑の党が躍進した。

「(政権を失ってから)厳しい4カ月だったが、国民が再び我々を選んでくれた」。クルツ氏は29日夜(日本時間30日未明)、支持者の前でこう語った。オーストリア内務省が29日公表した暫定選挙結果によると、国民党が前回17年選挙より6.9ポイント高い38.4%の得票で第1党となった。

社民党は同5.3ポイント低い21.5%、自由党は同8.7ポイント低い17.3%に落ち込んだ。緑の党は前回の3倍を超える12.4%まで伸ばした。今後、郵送による投票分などを加えて結果が確定する。

オーストリアでは17年の前回選挙後、移民への厳しい姿勢で一致した国民党と極右の自由党が連立政権を組んだ。だが、19年5月に当時の自由党党首がロシアの新興財閥の親族を名乗る女性に利益供与を約束していた疑惑が浮上。連立政権は崩壊し、クルツ氏も退任に追い込まれた。

議会の解散を受けた今回の選挙で、33歳と若くカリスマ性の高いクルツ氏が再び政権を率いるお墨付きを得たといえる。リーダーシップに一定の評価が集まり、自由党に失望した保守層の一部を取り戻した。今後の連立協議は政策の近い自由党と再び組むか、緑の党などとの新たな連立を探るかが焦点で、交渉が長引く可能性もある。

極右の自由党はスキャンダルで自滅したかたちだ。ただ、クルツ氏が中道右派政権を望んでいるとされ、再び政権入りする可能性も残る。逆風の中で17%の票を確保したことは、極右が一時の流行ではなく、移民問題への不満や反エリートの受け皿として着実に根付いていることを示したとの見方もある。

環境政党の緑の党が大きく票を伸ばしたことも、今回の選挙の特徴だ。前回は議席を得るために必要な4%の票を得られなかったが、わずか2年で得票率が3倍以上になった。欧州では「未来のための金曜日」と呼ばれる若者の環境デモが毎週のように繰り返されており、大規模災害につながる気候変動への危機感が追い風になった。

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