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大谷、左膝を手術 自覚していたスイング軌道のズレ
スポーツライター 丹羽政善

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2019/9/30 3:00
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「走り込みが足りないのでは?」

「人口比2%に満たない珍しい"先天性"の異常」

先日来、大谷翔平(エンゼルス)が受けた左膝蓋骨(しつがいこつ)手術の原因などに関して、様々な報道がある。分かりやすい言葉やキャッチーなフレーズに目を奪われがちだが、そうやってミスリードされていくことも少なくない。冒頭の言葉など、川崎市武蔵小杉にある「ベースボール&スポーツクリニック」ドクターの馬見塚尚孝さんの話を聞くと、むしろ逆であることがわかる。

成長過程での走り込みが原因?

「膝蓋骨は、生まれたときはすべて軟骨ですが、4~6歳、8~12歳のときに軟骨という"海"の中にできる"島"のように骨ができ、その島が成長とともに癒合して一つの骨になります。この癒合過程で『走り込み』などの力学的ストレスや大きな外傷が加わると、癒合不全を起こし『分裂膝蓋骨』となります」

つまり、大谷は生育過程において、走り込みなどをやりすぎた可能性さえあるのだ。

9月24日、左膝蓋骨の手術後初めて記者会見するエンゼルス・大谷=共同

9月24日、左膝蓋骨の手術後初めて記者会見するエンゼルス・大谷=共同

「大谷選手の場合は、身長が高いため、膝に力学的ストレスがかかりやすく、さらに成長の期間が長かったため、他の選手より軽いトレーニングでも膝蓋骨の癒合不全が生じやすかったと推察されます」

となると、エンゼルスのビリー・エプラーGM(ゼネラルマネジャー)が9月12日の会見で何度か使った「先天性」という表現にも疑問が生じるが、日本の整形外科医の間では、こう解釈されているそうだ。

「以前は日本でも先天性のものとして扱われてきましたが、いまはさまざまな研究で成長期の骨化障害や外傷が原因だとの説が有力になっています」

疑問を持ったその先を、もう少し深掘りしてみる。そうすることで、ものごとの本質が見えてくる。手術後の24日に行った会見で、大谷は、左膝に痛みを抱えたままシーズンを過ごしていたことを明かした。それを聞いて、そういうことだったのか、と複雑に絡み合っていた糸が一気にほぐれていった。

極度と形容してもいい8月終わりから9月上旬にかけての打撃不振。何がそれを招いていたのか、大谷本人でさえ、答えを探していたのだ。

何かがおかしい。その予兆をたどっていくと、それは前半戦の最後まで遡らなければならなかった。後半戦が始まって少したった頃、大谷は「オールスターブレークに入る前のアストロズ戦もそこまでよかったという感覚はない」と言ってから、こう続けている。

「ホームランになってはくれてましたけれど、ずっと『すごいいいな』というのはなかった」

アストロズとのシリーズが始まったのは7月5日のこと。彼はそこからずっと、もどかしさを感じていたというのだ。

それまでは、新人王を一気にたぐり寄せた昨季終盤を彷彿(ほうふつ)とさせた。今季、5月7日に復帰してからしばらくはムラがあったが、オープン戦での調整期間がなかったのだから、試合を重ねながら一つ一つ修正していくしかなかった。

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