神宮第二球場(東京・新宿) ゴルフ練習の珍景見納め

ひと・まち探訪
コラム(社会・くらし)
2019/9/28 11:30
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一塁側の観客席部分にゴルフ練習場が設けられた「神宮第二球場」(東京都新宿区)

一塁側の観客席部分にゴルフ練習場が設けられた「神宮第二球場」(東京都新宿区)

9月の昼下がり。「カーン」と、乾いた音を残して舞い上がった打球が、左中間にポトリと落ちた。二塁打? いやいや、グラウンドを転がっているのはゴルフボール。神宮第二球場(東京・新宿)は高校野球の東京都大会(春、夏、秋)以外、ゴルフ練習場として営業する不思議な球場だ。

1961年、野球場として誕生し、73年にゴルフ練習場が併設された。普通なら一塁側内野席があるはずの場所には打ちっ放しのレーンが並ぶ。平日の営業時間は午前6時から午後11時まで。この日も早朝から常連客が訪れ、グラウンドに向かって熱心にクラブを振った。

三塁側からみたゴルフ練習場の風景

三塁側からみたゴルフ練習場の風景

まもなく還暦を迎える球場は両翼が91メートル、中堅は116メートルで、隣の神宮球場よりも一回り小さい。高校野球の試合がある日は、ゴルフ練習場の営業を午前8時45分ごろに休止する。午前10時半の試合開始までに散らばったゴルフボールをかき集めるのは職員の仕事。スコアボードの選手名や得点も手の空いた職員が書き込むので、日によって字が上手だったり、そうでなかったり。

夕方、最後の試合が終わると20分後にはゴルフ練習場の営業を再開する。「敗れたチームの選手が球場脇に集まって、監督を囲んで涙を流す光景をよく見かけました」と語るのは明治神宮外苑第二球場の青木勝久副場長(44)。高校通算111本の本塁打を放った日本ハムの清宮幸太郎選手の高校1号もここで生まれた。

練習場は12月末でしばらく休業する予定だ

練習場は12月末でしばらく休業する予定だ

球場は2020年東京五輪・パラリンピックの後に解体され、跡地には秩父宮ラグビー場が移設される見通しだ。来年以降は五輪の資機材置き場となるため、ゴルフ練習場も12月末でしばらく休業するという。

全国制覇3度の実績を持つ帝京高校野球部の前田三夫監督(70)はスマートフォンに球場脇のイチョウの木の写真を収めて別れを惜しんだ。就任まもない都秋季大会決勝。ゴルフボールが作った芝のへこみに外野手がつまずき、単打が長打となって初の甲子園進出を逃した思い出もある。「最後」の秋季大会本大会は10月から。「感謝の気持ちを込めて躍動したい」と誓った。

(高岡憲人)

神宮外苑花火大会 隅田川花火大会などと並ぶ、東京の代表的な花火大会の1つ。毎年8月に東京・神宮外苑で開催されるが、1981年の第2回以降は神宮第二球場のグラウンドが打ち上げ場所となった。
 打ち上げ数は例年約1万発。当日はグラウンドに花火職人が集まり、夜空を彩る打ち上げ花火の仕込みに追われる。2019年は打ち上げ場所が軟式球場に移り、第二球場は花火の見物会場となった。東京五輪・パラリンピックがある20年の開催内容は明らかになっていない。
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