書店の淘汰一段と 文教堂、不採算店閉鎖の再生計画

2019/9/27 21:00
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事業再生計画は策定したものの、先行きは厳しい(27日、東京都千代田区)

事業再生計画は策定したものの、先行きは厳しい(27日、東京都千代田区)

出版不況が続くなか、書店の経営環境が一段と悪化している。インターネット通販の普及などで実店舗を訪れる消費者は減少。27日には私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)の手続きを進めていた文教堂グループホールディングスが不採算店の閉鎖などの再生計画を発表した。今後も淘汰が一段と進む見通しで、書店各社は品ぞろえの見直しや独自書籍の発掘などの生き残り策を模索する。

27日の債権者会議で決まった文教堂の再生計画は、取引金融機関の債務の株式化や主要株主の書籍取次大手の日本出版販売からの金融支援などが柱だ。具体的な規模は明らかにしていないが、全国に約130ある店舗のうち、不採算店の閉鎖を進めるほか、現在は売り上げの約1割を占め、書籍に比べて利益率の高い文具の販売を強化する。

同社は「これまで対応が場当たり的だったが、改革を加速したい」とする。赤字のキャラクターグッズ販売事業をソフマップに売却する方針も決めた。2019年8月期の連結最終損益は33億円の赤字見込み(前の期は5億9100万円の赤字)だが、21年8月期に黒字転換を目指す。

文教堂は書店チェーンの売上高の規模で12位だが、準大手の同社がADRに追い込まれたことは書店ビジネスの厳しさを反映している。調査会社のアルメディア(東京・豊島)によると、19年5月時点の全国の書店数は前年の同時期に比べて580店減の1万1446店。99年(2万2296店)のほぼ半分だ。

背景にあるのは米アマゾン・ドット・コムが既存の小売業を脅かす「アマゾン・エフェクト」などEC勢の攻勢だ。経済産業省によると、書籍や映像・音楽ソフトのEC化率は約30%。「生活雑貨、家具、インテリア」(22.5%)や「化粧品、医薬品」(5.8%)に比べてEC化が高い。

電子書籍の普及も書店には逆風だ。調査機関の出版科学研究所(東京・新宿)によると、18年の出版物の推定販売金額は17年比5.7%減の1兆2921億円。14年連続のマイナスで、ピークの96年(2兆6563億円)の半分以下に減った。

市場に明るい兆しが見えないなか、書店各社は対策を模索する。18年の書籍・雑誌の販売額が過去最高の1330億円となったTSUTAYAはグループの徳間書店、主婦の友社と連携し、独自の書籍を増やすことで利用者を増やしている。

だが、文教堂のような準大手ですら経営不振に陥る苦境のなか、成長戦略を描くことは難しいのが現状だ。スマートフォンやタブレット端末の普及で電子書籍やネット通販の市場が一段と広がる中、書店各社は従来のモデルを見直すことが急務となる。

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