端末の強制終了、業務見直す機に 大阪・寝屋川市役所
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関西タイムライン
2019/9/30 7:00
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大阪府寝屋川市役所3階にある総務部人事室。終業時刻から20分後の午後5時50分、下村藍係長のパソコン画面に大きな三角形で囲まれた「!」マークが現れた。画面を閉じる操作をしても、1分おきに再表示されるので仕事にならない。「残業を申請していないので、帰るしかありません」。同6時に自動的にシャットダウンすると、他の職員も次々と端末を閉じた。

警告画面の表示から10分後にパソコンが強制的にシャットダウンする

警告画面の表示から10分後にパソコンが強制的にシャットダウンする

同市は2018年4月から、長時間労働の抑制策として事前の承認がない場合に職員のパソコンを強制終了するシステムを本格導入した。課長代理以下約1千人が対象。18年度は府北部で起きた震度6弱の地震や台風など災害対応に追われたが、月80時間以上の時間外業務を行った職員は17年度比で39%減、残業の合計は1620時間も減った。

以前から毎週水、金曜日を「ノー残業デー」とするなどして早期退庁を促してきた。しかし、次第に形骸化。電通社員の過労自殺などで働き方改革に注目が集まる中、危機感を抱いた当時の市幹部らが「強制力を伴う手法も必要なのではないか」と問題提起し、17年7~8月に約50人の職員を対象にパソコンの強制終了を試行。前年同期に比べ残業が1割減ったほか、参加者の6割が「全庁的な導入は有効だ」と答えたこともあり、本格実施を決めた。

強制終了しても作業中のデータは失われない。職員の間では「集中して仕事に向き合える」「明日でいいことは明日やる、というメリハリが生まれた」など好評だという。実効性を高めるため、会議を1時間以内にしたり、終業1時間前からは職員同士で緊急性のない問い合わせをしないなどの取り組みも進めている。

残業時間の削減に目が向きがちだが、人事室の丹野裕介係長は「上司と部下のコミュニケーションが深まり、『この業務は本当に必要なのか』と前例踏襲を見直す機会が増えた」と力を込める。実際に必要がないと判断し、予算や決算など一部資料の作成を取りやめた職場もあるという。

10月からは全国初の取り組みとして、常勤職員が就業時間を自分で決めるフレックスタイム制度も始める。市民サービスに支障が出ないよう勤務時間のきめ細かな調整は必要だが、下村係長は「一人ひとりのライフスタイルに合わせた働きやすい環境を整え、多様な人材の確保につなげたい」と話す。(江口博文)

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