関電、金品受領を1年公表せず 「違法性なし」理由に - 日本経済新聞
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関電、金品受領を1年公表せず 「違法性なし」理由に

関西電力の役員らが高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役(今年3月に90歳で死去)から金品を受け取っていた問題で、関電は27日、大阪市内で岩根茂樹社長らが記者会見し、同社長ら20人が計3億2千万円相当を受領していたと発表した。金品提供は国税当局の税務調査で判明。同社は「違法性がないこと」などを理由に社内調査後の約1年間、公表していなかった。

金品の原資は原発関連工事を担う地元の建設会社からの資金だった可能性があり、原発マネーが関電側に還流した疑いがある。八木誠会長と岩根社長を含め報酬返上の社内処分としたが、同社長自身の辞任は否定した。

岩根社長は電気事業連合会の会長を務めており、原発を巡る不透明な資金の流れは、関電や他社の原発の再稼働などにも影響を与えかねない。

金品を提供したのは高浜町の元助役、森山栄治氏で高浜原発の誘致にも携わった。八木会長、岩根社長を含む関電の20人は2011~18年までお中元、お歳暮、社長就任祝いなどの名目で、現金のほか、背広、そうめんなどを受領したという。役員のほかに、同社OBや社員らも含まれる。

会見で岩根社長は「一時的に保管していた。地元の有力者で、返却を拒まれたので関係悪化を恐れた」と説明。20人全員が儀礼の範囲を超える金品はすでに返却したという。

国税当局による税務調査を受け、関電は18年7月から9月まで、弁護士らでつくる調査委員会で社内調査を実施。約3億2千万円を受領したとする調査報告書をまとめたが、公表しなかった。岩根社長は「工事の発注プロセスは適当だった。違法な行為ではなく、外部に公表する事案ではなかった」と釈明した。

一方関電の月山将執行役員は27日、経済産業省を訪れ、資源エネルギー庁の担当者に経緯を説明。月山氏は「できるだけ早く、事実関係を含めて詳細に報告するよう指示を受けた」と話した。

元助役から関電への金品提供を巡っては、税務当局は高浜原発や大飯原発(福井県おおい町)の関連工事を請け負う高浜町の建設会社を調査。工事受注に絡む手数料として元助役に約3億円の資金が流れていたことが確認された。さらに元助役が関電幹部ら6人に約1億8千万円の金品を提供していたことが判明した。

関電によると、税務当局からは一部、所得税の対象に該当するものがあると指摘され、修正申告して納付を済ませた。

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