ユニファ、「スマート保育園」実現へ35億円を調達

2019/9/27 15:43
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保育園向けIT(情報技術)サービスのユニファ(名古屋市、土岐泰之社長)は27日、官民ファンドのINCJなどを引受先とする第三者割当増資で約35億円を調達したと発表した。調達資金でM&A(合併・買収)や新サービスの開発を加速する。あらゆるモノがネットにつながるIoTや人工知能(AI)を使って保育士の負担を軽減する「スマート保育園」の実現を目指す。

27日、35億円の資金調達を発表したユニファの土岐社長(右から4人目)ら(東京・千代田)

INCJのほかに凸版印刷エムスリーリンクアンドモチベーション、第一生命保険、新生企業投資、日本郵政キャピタルなど計12社が増資に参加した。今回の調達は事業拡大期の「シリーズC」に位置づけられ、累計調達額は約60億円となる。

ユニファは2013年に設立された。IoTを活用して昼寝中の園児の体の傾きや体動の有無を検知したり、体温を瞬時に計測・記録したりするサービスなどを展開する。全国の約6250施設に導入され、約35万人の乳幼児にサービスを提供している。

調達資金の一部を使い、リクルートマーケティングパートナーズが16年に創業した保育園向けITサービス「キッズリー」を凸版印刷グループのフレーベル館(東京・文京)から買収した。買収額は公表していない。キッズリーは保護者と保育園をつなぐ連絡帳アプリを運営している。

同日に記者会見したユニファの土岐社長は「キッズリーと我々のサービスを統合して体温の情報を連絡帳に送るなどシームレスにつなげていく。モデルとなるスマート保育園を全国でつくり、保育士不足の問題を解決したい」と語った。

最大10億円の投資を決めたINCJの丹下智広マネージングディレクターは「保育園の課題解決にとどまらず、ユニファを中核に様々な企業や自治体、大学などと連携し、乳幼児育成プラットフォームに力を入れる」と述べた。資金支援だけでなく、保育現場でのIT導入やデータ活用に必要な規制緩和なども働きかけていく考えだ。

ユニファが大型資金調達を決めた背景には保育士不足の深刻化がある。厚生労働省によると、保育士1人の1日あたり業務時間のうち、記録と報告に関わる業務が25%を占めるという。低賃金や子どもの安全を守る責任の重さもあり、若手保育士の離職率は約18%と高い。保育士の資格を持ちながらも保育園で勤務していない「潜在保育士」は約80万人と、10年前の4割増えている。

ユニファは調達資金で採用を加速し、現在は約200人の従業員数を早期に250人とする計画。導入施設数は「2~3年後に1万5000に広げたい」(土岐社長)という。当面は黒字化よりも先行投資を優先させる方針で、将来は新規株式公開(IPO)も検討している。

(鈴木健二朗)

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