安保協力の距離感変化 防衛白書、韓国後退で豪印浮上

2019/9/27 12:30
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ステルス戦闘機F35A

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防衛省が27日に公表した2019年の防衛白書では、各国との安全保障協力での距離感に変化がみられた。韓国は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定などを受けて記述量が減少した。一方でオーストラリアやインドなどは記述の厚みが増した。中国は軍事力拡大に懸念を示した点は例年と同じだが、関係改善を受けて書きぶりに配慮がにじんだ。

防衛白書は年1度、最新の防衛政策や海外との防衛交流の現状を国民に伝えるために発行される。今回は18年末にまとめた新たな防衛大綱や中期防衛力整備計画(中期防)の中身を反映し、宇宙やサイバー、電磁波の新領域防衛の拡充に力点を置いた。米国や中国、ロシアが最新兵器を開発し、安保環境が急速に変化しているとも指摘した。

今回、特徴的だったのは各国との「安全保障協力」の章だ。同盟国の米国を除き防衛交流が活発な国から順に示すが、韓国は記述順が2番手から4番手に後退した。

日韓の防衛交流は、18年10月に国際観艦式に参加しようとした海上自衛隊に韓国が自衛艦旗の旭日旗を降ろすよう求めたことなどから1年以上滞っている。10月の海自観艦式にも韓国軍は参加しない。

白書では8月に韓国が破棄を決めたGSOMIAに関し「韓国政府から終了させる旨の書面による通告があった」と事実のみを淡々と伝えた。防衛省の担当者は「韓国とは新たに紹介すべき実績がない」と語る。

河野太郎防衛相は27日の記者会見で「日韓関係は非常に重要だ。韓国には賢明な判断をぜひしていただきたい」と強調した。

一方、日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋構想」を見据えた変化もあった。

準同盟国の位置づけで紹介順がトップの豪州は内容が厚みを増した。2ページ以上にわたり協力内容を記し「インド太平洋地域の『特別な戦略的パートナー』だ」と紹介した。日豪は現在、日本では初となる戦闘機の共同訓練を北海道で実施するなど海洋進出を図る中国を念頭に部隊間の実践的な連携を強化している。

2番手に昇格したのはインドだ。約2ページを割いて部隊間の交流などを紹介し「地域やグローバルな課題に対応できるパートナーとしての関係と基盤が強化されている」と強調した。日印は12月に初めての外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の開催をインドで予定している。物品役務相互提供協定(ACSA)の締結も目指している。

東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の記述も6番目から3番目に浮上した。2プラス2の枠組みを持つインドネシアを筆頭にベトナム、シンガポールなどとの共同訓練をアピールした。

中国については「諸外国の軍事動向」の章で米国に次ぐ2番目に取り上げ、急速に拡大する軍事化の脅威を改めて指摘した。中国は新領域でも存在感を高めている。

ただ中国との関係は改善基調にあり、防衛分野でも4月に海自の艦艇が7年半ぶりに中国を訪問した。6月にはシンガポールで防衛相会談を開催し、ハイレベル交流の促進で一致した。白書ではこれらについて紹介し「中国との安定的な関係は不可欠な要素だ」と表現した。

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