特殊詐欺の固定電話遮断 官民一体で新対策開始
警察庁やNTT東日本など通信大手は27日、特殊詐欺に使われた固定電話番号の利用を停止する対策を始めた。通信各社が約款を変え、警察の要請に基づき対応する。携帯電話に代わり、インターネット技術を使うIP電話の転送サービスなどを使って固定電話の番号を表示させる手口が急増しているためで、番号を転売する「電話再販業者」の規制も強める。

回線の提供を拒否できる現行法の規定を運用する形で、総務省、警察庁、通信大手各社で仕組みを整えた。各社は契約に関する約款に利用を止められる条項を盛り込み、27日以降に詐欺に使われていると分かった番号を停止対象とする。
新たな仕組みでは、詐欺で使われた番号に警察が電話して悪用しないよう警告する。同じ番号が再び詐欺に使われた場合、警察が通信各社に番号を使えなくするよう要請し、各社が番号の利用を停止する。
詐欺グループは身元を隠すため、通信大手と契約せず、回線を転売する電話再販業者から番号を取得することが多い。詐欺に悪用される疑いを知りながら番号を販売する悪質な業者もいるとされる。通信各社は今後、詐欺グループに番号を売り渡す業者への新規契約も凍結する。
警視庁が2018年に認知した詐欺電話の83%は、インターネット技術を使うIP電話などの固定電話だった。IP電話は転送サービスを使うことで「03」や「06」から始まる番号で発信でき、日本の会社や官公庁を装うことができる。3月にタイで摘発された日本人の詐欺グループもIP電話を使い、日本へ電話をかけていた。
携帯電話が詐欺に使われた場合は、携帯電話不正利用防止法に基づき強制的に利用を止められるが、固定電話の対策は遅れていた。18年の特殊詐欺の被害額は約363億円で高止まりしており、政府の犯罪対策閣僚会議が6月に今回の対策を決定した。警察庁などが仕組みの詳細を詰めていた。
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