英自動車生産8年ぶり低水準 EU離脱を懸念

英EU離脱
2019/9/26 21:31
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【フランクフルト=深尾幸生】英自動車工業会(SMMT)が26日発表した1~8月の乗用車生産台数は前年同期比17%減の86万6千台となり、8年ぶりの低水準に落ち込んだ。英国内外の消費停滞に加え、英国の欧州連合(EU)離脱が決まって以降の投資抑制の影響がじわじわ出てきた。「合意なき離脱」なら生産活動はさらに落ち込む可能性が高い。

独BMWがミニを生産する英オックスフォード工場=ロイター

8月単月は前年同月比3%増だったが、独BMWなどが例年8月に設定する生産休止期間を当初の離脱期限直後の4月に移した影響が大きく、先行きは楽観できない。

SMMTのマイク・ホーズ会長は「合意なき離脱の打撃を恐れる自動車産業の苦境に、弱くなっている世界の需要が追い打ちをかけている」と嘆く。EU離脱を巡る不透明感で国内市場は冷え込み、頼みの輸出も1~8月は前年同期比で18%減だ。

離脱を巡る混乱は供給面にも影を落とす。英工場への投資を減らす動きが続いており、生産に影響し始めた。当初の離脱期日が3月末だったことを踏まえ、4月以降に一時休止の措置をとった工場があったことも、生産を下押しした。

ロイター通信は26日、英ジャガー・ランドローバー(JLR)が離脱予定日直後の11月に英工場での生産を1週間止めると報じた。JLRは当初の4月にも英3工場で生産休止を余儀なくされていた。トヨタ自動車やBMWも10月末やその直後の数日間、物流の混乱を避けるため英国での生産を休止する。

仏グループPSAは離脱の内容が明らかになるまで英2工場への新規投資を凍結することを決めた。

影響は製造業全般に及ぶ。元国営で英鉄鋼2位のブリティッシュ・スチールは5月に経営破綻した。同社は「EU離脱に伴い受注が減った」と説明していた。8月には、トルコの複合企業が買収する方向が決まった。

英調査会社IHSマークイットが2日発表した8月の英製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月比0.6ポイント低い47.4と7年ぶりの低水準だった。「EUの企業の一部はすでにサプライチェーン(供給網)から英国を外しつつある」という。ポンド安で輸入物価が上がったことも響いた。

製造業の規模は英国の国内総生産(GDP)の1割にとどまるが、多くの雇用を抱え地方経済を支えている。EU離脱はすでに実体経済に悪影響を与えており、混乱が長引けば英経済は大きな打撃を受けることになる。

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