御嶽山噴火5年、火山対策手探り 予測難しく

2019/9/26 21:31
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御嶽山が噴火し、頂上付近から上る噴煙(2014年9月、登山者提供)=共同

御嶽山が噴火し、頂上付近から上る噴煙(2014年9月、登山者提供)=共同

御嶽山(長野・岐阜県)が突然噴火し、死者・行方不明者計63人を出した戦後最悪の火山災害から27日で5年。気象庁は火山活動の観測体制を強化し、各地では登山者の行動把握や避難計画の策定などの対策づくりが進められている。しかし噴火を完全に予測することは難しい。専門家は登山者自らが噴火リスクを十分に理解すべきだと指摘している。

山頂に至る一部ルートの通行規制が解除された御嶽山で9月21~22日、登山者約300人が参加した実験が行われた。登山者にビーコン(発信器)を身につけてもらい、ビーコンから出る電波を登山道の20カ所に設けた受信機で感知し、登山者が滞留しやすい場所などを調査した。

実験を企画したのは地元の防災啓発組織「御嶽山火山マイスターネットワーク」などで、噴火時に登山者が逃げ込むシェルターの数や適切な設置場所を把握するのが狙いという。

5年前は登山者の数や居場所が分からず、自衛隊や警察、消防による救助活動が難航した。同ネットワーク代表の沢田義幸さんは「実験結果などを検証し、いざというときの救助活動や安全対策に生かしたい」と話す。

御嶽山は2014年9月27日午前11時52分ごろ、最も低い噴火警戒レベル1で突然、水蒸気噴火した。当時は紅葉シーズンの土曜日で山頂付近は200人を超す登山客でにぎわっており、多くの人が犠牲になった。

水蒸気噴火はマグマ噴火と比べて事前の変化が小さいとされる。御嶽山のような突発的な噴火に備えるため、国は15年に活火山法を改正。活火山の周辺自治体に噴火時の情報伝達や避難計画などを定めるよう義務づけた。これを受け周辺自治体は対策に取り組んでいるが、避難計画などの作成は遅れている。

新燃岳や硫黄山などの火口で火山活動が起きている霧島連山(宮崎、鹿児島両県)。両県の自治体などでつくる霧島山火山防災協議会は2月、御嶽山の噴火を受けて火山防災マップを約10年ぶりに見直した。

防災マップには新たにQRコードが記載され、スマートフォンのカメラで読み取ると、登山者が周辺の火山の活動状況を手元で確認できるようになっている。また登山中に避難が必要になった場合、どの方向に逃げればいいかが地図上に矢印で示されている。

北海道にある十勝岳は常時観測火山の一つで、周辺自治体などは16年に十勝岳火山防災協議会を結成。地元の気象台職員も交え年に2回程度視察し、噴火の規模に応じた対応のシナリオを作成した。火山防災マップを周辺住民に配布し防災意識の向上を図っている。

鹿児島大の井村隆介准教授(火山学)は「御嶽山噴火のような水蒸気噴火は予測が不可能に近く、登山者自ら噴火のリスクと対策をよく理解したうえで登山に臨むべきだ。火山の周辺自治体には登山者に必ず防災講習を受けさせるくらいの徹底した啓発活動が求められる」と指摘している。

御嶽山の噴火後、気象庁は火山活動の変化をより迅速に把握するため観測体制を強化した。

噴火の前兆となることもある低周波地震を検知する高精度の地震計を全国の43活火山に増設。山の傾きを調べる傾斜計を29火山に、山の表面温度を測る熱映像カメラも28火山にそれぞれ設置し、一部の火山では火口から放出される火山ガスの成分観測も始めた。

ただ18年1月に草津白根山の本白根山(群馬県草津町)、19年8月に浅間山(長野・群馬県)が噴火した際、前兆現象は観測されなかった。同庁は「突発的な噴火はいつあってもおかしくない。噴火警戒レベルが1であっても、活火山であることに留意してほしい」としている。

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