イスラエル ネタニヤフ氏に組閣要請 首相続投には壁
野党連合、「退陣要求」変えず

2019/9/26 23:00
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【カイロ=飛田雅則】イスラエルのリブリン大統領が25日、右派リクード党首のネタニヤフ首相に組閣を要請し、連立協議が本格化する。ネタニヤフ氏は自らを首相に推す右派・宗教系の勢力だけでは政権発足に必要な国会定数(120)の過半に届かないため、中道野党連合「青と白」に大連立を呼びかける。「青と白」は汚職疑惑を抱える同氏との協力を拒否しており、首相続投の展望は開けないままだ。

イスラエルのネタニヤフ首相(左)は25日、リブリン大統領から組閣要請を受けた=AP

17日のやり直し総選挙では、ガンツ元軍参謀総長らが率いる「青と白」が33議席を獲得し、第1党となった。ネタニヤフ氏のリクードは32議席でわずかに及ばず、単独で過半数を占める政党はなかった。

大統領は政権を樹立できる可能性が高い政党の代表に組閣を要請する。ネタニヤフ氏を推す右派・宗教系勢力をまとめると55議席に達し、ガンツ氏支持の中道・左派の54議席を上回った。そのためリブリン氏はネタニヤフ氏に連立協議を委ねた。

他党との閣僚ポストの配分交渉などがまとまり、支持勢力で国会の過半数に達すると、政権が発足する。協議は最長6週間と定められており、交渉が不調に終われば、大統領はガンツ氏に組閣を要請する。政権発足の明確な見通しは立っておらず、3度目の総選挙を予想する声も出ている。

ネタニヤフ氏は25日、「協力がなければ、政権を樹立できない」と述べ、「青と白」に大連立を呼びかけた。まとまれば90議席近くを占める安定政権となるためだ。

「青と白」のガンツ氏は同日の声明で「起訴に直面することになる指導者と一緒に政権に入ることはできない」と拒否した。政策面ではリクードと大差のない「青と白」は、汚職疑惑を抱えるネタニヤフ氏の退陣を求め、有権者の支持を集めてきた。リクードと組む条件も「ネタニヤフ氏抜き」を主張している。

ネタニヤフ氏は8議席を獲得した極右政党「わが家イスラエル」に連立入りを求める可能性もある。党首のリーベルマン氏は世俗派で「ネタニヤフ氏はユダヤ教の宗教政党と組むべきではない」と主張する。4月の総選挙後にはリーベルマン氏が宗教政党と対立し、ネタニヤフ氏主導による連立協議が失敗した一因にもなった。今回もネタニヤフ氏が宗教政党と決別しなければ、連立入りを拒否する構えだ。

検察は汚職疑惑のあるネタニヤフ氏を起訴するかどうか判断するため、10月初旬、同氏から意見を聴取する予定で、司法手続きが本格化する。首相を続投できなければ刑事責任を追及される可能性が出ており、政治生命の危機に直面する。

首相交代となると米トランプ政権の中東政策にも影響が及びかねない。米国はネタニヤフ政権を念頭に、パレスチナとの紛争を解決する新たな中東和平案の準備をしてきており、内容の見直しを迫られる可能性がある。

9月にサウジアラビアの石油施設が攻撃を受けた問題で、米国とイランの対立は激化している。「Bチーム」と呼ばれる対イラン強硬派のうち米大統領補佐官だったボルトン氏に続き、ネタニヤフ氏も「退場」となれば、米国主導のイラン包囲網づくりに微妙な影響を与える可能性もある。

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