「表現の不自由展」、再開目指すも論争は必至

文化往来
2019/9/27 6:00
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国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で中止していた「表現の不自由展・その後」が再開に向けて動き始めた。再開すれば国際的にも珍しいという。ただ、再開の条件とされた展示方法の改善などに作家らの反発は強い。

閉ざされた「表現の不自由展・その後」の展示室の扉には、来場者が感じた「不自由さ」を記した紙が貼られている(25日、名古屋市)

閉ざされた「表現の不自由展・その後」の展示室の扉には、来場者が感じた「不自由さ」を記した紙が貼られている(25日、名古屋市)

「混乱と被害をもたらした最大の原因は、無理があり、混乱が生じることを予見しながら展示を強行した芸術監督の行為にある」。愛知県が設置した「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」が25日、まとめた中間報告案は芸術監督の津田大介氏の責任を厳しく指摘した。

「反日」的作品が多いと抗議が殺到した「その後」展だが、検証委はたとえ政治的な色彩がある作品であっても、専門家が決めた内容であれば公立美術館で公金を使って展示するのは問題がないとした。抗議の主な対象となった「平和の少女像」について、「海外ではフェミニズム・人権運動の象徴」だが、国内では「強い反感を覚える人がいるのも事実」との見解を示した。

その上で、明らかに混乱をもたらすと予見された作品について、芸術監督が事務局や会長に事前報告も相談もせずに準備を進めたと批判した。津田氏は「厳粛に受け止める」とする一方で、「企画展を見ずに抗議してきた人が多いのに、(作品の選定や展示方法など)キュレーションに問題があるというのは疑問だ」と反論する。

今後はトリエンナーレのキュレーターらが「その後」展の実行委員会と展示方法の改善などについて協議し、早期の再開を目指す。出展作家の小泉明郎氏は「再開の意思が表明されたことは、大きな一歩」としつつ、「クレーム等を理由に、展示改変を押し付けられるようなことがあってはいけない」と話す。実行委員会も強く反発しており、話し合いは難航しそうだ。

2013年にあいちトリエンナーレの共同キュレーターを務めたアーツ前橋の住友文彦館長は「展示方法うんぬんは技術的な論点であり、本質は歴史認識やヘイトスピーチに対する問題。そこから目をそらしてはいけない」と語る。文化庁が26日にあいちトリエンナーレに対する補助金の交付を撤回したことについては日本ペンクラブの吉岡忍会長が「その後」展を「脅迫等によって中断に追い込んだ卑劣な行為を追認すること」になりかねないと批判した。

(岩本文枝)

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